"プロ登山家"に学ぶ、「恐怖心との対峙法」

働く上でも参考になる、竹内洋岳さんの哲学(上)

太田 私たちも「習慣化」という言葉を使います。怖いこと、嫌なことをやろうとするとき、モチベーションだけで頑張ろうとするとぐだぐだになってしまう。でもスケジュールに組み込んで、習慣化するとスムーズです。また、成績優秀なビジネスマンの行動分析をしてみると、優秀なビジネスマンであればあるほどスケジュールがびっしりなんですね。彼ら彼女らは「売れない時期は手帳の空白が多い」と言う。聞くと、「全て行動計画なんです」と仰っていました。「計画を立てて、あとは行動するだけ。それだけで結果がついてくる」っていうのを思い出しました。

竹内 彼らはきっと、計画を立てるときに相当たくさん想像しているし、自分で自分に目標を宣言しているのだと思います。緻密な計画を立てるためには目標を見据えることと想像力が必要ですから。きっと、自分でどこまでできるかっていうのを試しているんでしょうね。

メンタルとフィジカルを分けて考える必要はない

太田 想像力についてさらにお聞きしたいです。竹内さんにとって想像力を働かせるというのは、脳を動かすイメージなのでしょうか? それとも、自分のフィジカルと向き合ったときに、おのずから湧いてくるものなのでしょうか?

竹内 私はフィジカルとメンタルは同じ人間の中に共存するものですから、切り離すものではないような気がしています。切り離した方が分析する上で効率が良いのかもしれませんが、登山の場合だけでなくても、「考えずに体が動いている場合」「考えなければ動けない場合」、どちらもあると思うんですね。

太田 大きな目標を立ててそれに挑むときに、精神論と技術、どちらがより重要、ということはない……?

竹内 はい。五感とか第六感とかとも言いますが、私は感覚を5つに分ける必要もないと思っています。目で見て認識していると感じているかもしれないけれど、目で見ながら耳でも聞いているだろうし、雰囲気も感じているだろうし。その場の全部をひっくるめて感じ取っていると思うんですね。自分の肉体がどうする、精神がどうする、ではなくて、自分がどうする、ですから。どんなに心で思ったとしても体がついていかなければダメですし、フィジカルが恵まれていても精神でコントロールできなければ目標は達成できない。また、その人ができるかどうか、やろうと思えるかどうか、潜在能力を発揮できるか。それは環境によると思います。

(構成:小川たまか・プレスラボ 撮影:名鹿祥史)

※後編は8月2日に掲載予定です

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