スバル、復活シナリオに漂う「半導体次第」の暗雲 挽回生産でコロナ前水準へ回復を掲げるが・・・

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スバルは年間販売台数が約100万台と少ないこともあり、生産ラインは世界で5ラインのみ。そこでは同じラインで複数の車種を生産する「混流生産」と呼ばれる手法を取っている。混流生産では、部品不足などにより生産できない車種が1つでも出ると、同一ラインで製造するほかの車種も生産できなくなる。結果として多くの車種へと影響が広がった。

一方、スバルの今期の見立ては楽観的だ。

2022年3月期は生産台数をコロナ前とほぼ同水準の103万台に回復させ、売上高3.3兆円、営業利益2000億円と大幅な増収増益を目指す計画だ。決算会見で中村知美社長は「年度を通じて挽回生産を行う」と強調。だが、半導体の確保に向けたサプライヤーとの連携策などに関する具体的な説明は語られなかった。

なお三菱自動車は今期、半導体不足により上期に卸売りの販売台数で8万台減を見込み、後半以降に挽回生産を行うも、通期で4万台程度のマイナス影響が残るとしている。

今期に入っても相次ぐ減産

足元でも半導体不足の影響は続いている。スバルは4月10日から4月27日の間、群馬製作所の一部製造ラインの生産を停止して1万台を減産。4月19日から4月30日までアメリカの生産拠点のSIAでも生産を止めて1.5万台減産し、合計2.5万台の減産を行ったと発表している。

もっともこの数字は、すでに生産調整を見込んでいた会社計画からの減産台数だ。各ラインの1日当たりの生産能力と稼働停止日数から単純計算すると、本来のフル生産能力と比べた場合の減産台数は、群馬製作所で1.68万台、SIAで1.7万台の合計約3.4万台に達する。

その後に生産は再開したものの、稼働調整は現在も継続している。販売自体は好調が続いている分、低水準の生産が続けば売り逃しを招きかねない。

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