スバル、復活シナリオに漂う「半導体次第」の暗雲 挽回生産でコロナ前水準へ回復を掲げるが・・・
打ち出されたのは、不安のくすぶる"挽回計画”だった――。
5月11日、SUBARU(スバル)が前2021年3月期決算を発表した。売上高2兆8302億円(前期比15.4%減)、営業利益1025億円(同51.3%減)と減収減益で着地した。
昨年春は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、主力市場であるアメリカと国内で販売が激減。だが、その後の販売は急回復を遂げた。アメリカではコロナ影響を大きく受けた法人向け販売が少なく、比較的所得の高い個人客が多いため、需要の戻りも早かった。
そこに水を差したのが世界的な半導体不足だ。
一般的に受注から生産まで半年ほどかかる半導体は、自動車需要の急回復に供給が追いつかず、2020年末頃から世界的に需給が逼迫。スバルも今年2月の第3四半期決算発表時に、88万1300台としていた通期の生産計画を82万3400台に下方修正した。大拔哲雄調達本部長の下、サプライヤーとの交渉を進め、半導体の確保と影響の抑制に奔走してきた。
影響拡大を招いた独自戦略
だが、最終的に2021年3月期の生産台数は、2月の修正計画をさらに下回る80万9900台(2020年3月期実績は103万3900台)となった。半導体不足による減産は6.1万台だった。
スバルと販売規模の近い三菱自動車の場合、前期は半導体不足により3月に約4000台の減産を行った(その他の月は影響が少なく非公表)。同業他社と比べ影響がひときわ大きい背景には、販売や生産面におけるスバル固有の問題がある。
スバルはターゲット層と展開車種を絞り込んだ戦略により、比較的大型のCセグメント、Dセグメントといわれる車を中心に販売する。価格も高めのこれらの車種では、自動ブレーキや手放し運転といった先進安全装備などの高機能な装備を搭載するモデルが増え、車載半導体をより多く使う傾向にある。開発費や製造コストを抑えるため共通化している部品も多く、特定の部品が不足すると生産への影響も大きくなる。
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