スバル、復活シナリオに漂う「半導体次第」の暗雲 挽回生産でコロナ前水準へ回復を掲げるが・・・

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実際、販売サイドにも影響は出始めている。1つがアメリカでの在庫の減少だ。日本と違い、アメリカではディーラーが車の在庫を持って販売する。アメリカの一般的なディーラーの場合、年間販売台数の60日分の在庫を持つことが多い。

現地で好調な売れ行きが続くスバルは以前からディーラー在庫が少なく、30~45日分を適正水準としてきた。だが、今年2月末で40日分あった在庫は、4月末の段階で18日分程度まで減少している。

アメリカには群馬製作所からも多くの車を輸出しており、船で輸送するため生産から到着まで1カ月はかかる。現在も生産調整が続く中、在庫水準の回復に時間を要するのは明白だろう。

一気に挽回できる"余力"も乏しい

国内でも販売への影響が見え始めている。あるディーラー関係者は「通常時は1~1.5カ月程度だった注文から納車までの期間が、現在は1~2カ月程度とやや長くなってきている」と明かす。

スバルは今期後半に工場の稼働日を増やせるようシフトの検討を行うなど、挽回生産に向けて準備を進める。だが、中村社長自身も「今の時点で必ずしも(103万台の生産が)できるとは言い切れない」と認めるように、今期の後半に半導体不足が解消できる確証はない。

生産ラインの少ないスバルは、コロナ前から続くアメリカでの需要拡大にも、残業や休日出勤を増やしてなんとか対応してきた経緯がある。

生産能力に限りがある以上、部品が確保できるようになったところで一気に挽回生産できる余地も大きくないのが実情。半導体不足の出口が見通し切れない中、スバルのジレンマは当面続きそうだ。

中野 大樹 東洋経済 記者

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なかの たいじゅ / Taiju Nakano

大阪府出身。早稲田大学法学部卒。副専攻として同大学でジャーナリズムを修了。学生時代リユース業界専門新聞の「リサイクル通信」・地域メディアの「高田馬場新聞」で、リユース業界や地域の居酒屋を取材。無人島研究会に所属していた。趣味は飲み歩きと読書、アウトドア、離島。コンビニ業界を担当。

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