アメリカの雇用が予想外に回復していない「意味」 4月の雇用統計は楽観論を完全に裏切る内容に

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4月の雇用統計が一時的な例外だったとしても、過去3カ月間の雇用者数の増加は月平均で52万4000人にすぎない。このペースだと、経済が完全復活を果たすのはかなり先になることが予想される。多くの調査機関による最近の予測、そしてバイデン政権や連邦準備制度理事会(FRB)が期待しているような景気の急回復を示唆するデータでないことは確かだ。

こうしたデータは、財界リーダーの多くが指摘する深刻な労働力不足と一致する。求人数は急速に回復しているものの、少なくとも従来の賃金水準ではその枠を埋める人材が確保できないという話だ。経営者層や保守派の多くは、連邦失業給付の上乗せが手厚すぎると批判している(これは新型コロナウイルス経済支援策の一環として少し前に延長された措置だが、9月に期限切れとなる予定になっている)。

全米商工会議所は7日、4月の雇用統計を引き合いに出し、失業給付に対する毎週300ドルの上乗せを直ちに打ち切るよう求めた。

4月の雇用増加は緩やかだったが、賃金ははっきりと伸びている。0.7%という平均時給の上昇率は小さくない。レジャー・接客業では平均時給が1カ月で4.8%も上がるなど、大幅な賃金上昇が起こっている業界もある。

「雇用なき回復」が繰り返される?

注目すべきは、労働力人口(就業者数+求職者数)が増えていることだ。働いているか、職を探している人の数は4月に43万人増えた。これは2008年のリーマンショック後とは正反対の状況になっていることを示している。当時、賃金はなかなか上がらず、何百万人という人々が労働市場から離脱した。

それでも、コロナ禍のせいで多くの人々が仕事に戻るのをためらう状況が続いている可能性はある。具体的には、学校のリモート授業が続いていて子どもの面倒を見なければならないとか、感染を恐れているとか、キャリアの変更を検討している、といった理由が考えられる。

2010年、当時のオバマ政権は夏の間に景気回復を進める「リカバリー・サマー(回復の夏)」というメッセージを打ち出したが、自らの顔に泥を塗る結果となった。というのは、景気が拡大する一方で雇用が回復しなかったからだ。アメリカ人の生活は2008年の不況前よりも明らかに悪い状態が続き、改善のスピードも非常に遅かった。

バイデン政権としては、何としても避けたいシナリオの1つだ。

(執筆:Neil Irwin記者)
(C)2021 The New York Times News Services

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