リモコン激変!「ボタン争奪戦」が熾烈極める理由 Netflix追う日本勢、テレビメーカーも前のめり

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テレビを持つ人なら、誰でも日常的に使用するであろうリモコン。ここにボタンを取りつければ、未加入の消費者のサービス認知を広げられる。また気軽にサービス画面に飛べるため、そこから新規加入に直結するケースもある。実際、ユーネクスト・マーケティング部の前田弘之部長は「リモコンボタンはユーザー獲得に大きく貢献している」と語る。

テレビで気軽に楽しめることは解約率の抑制にもつながる。ある動画配信サービス首脳は「画面が小さいスマートフォンより、画面が大きいテレビのほうが平均視聴時間は長い」と明かす。サービス利用時間が長ければユーザーの満足度も高まる傾向にあり、解約率は自然と下がる。

前述のとおり、動画配信サービスにとって「会員獲得」と「解約抑制」は事業成長の根幹を担う要素だ。それらの面でリモコンボタンが重要な役割を果たすことは、業界ではすでに認識されている。「手を挙げるサービスが増え、競争が激しくなっている」(ユーネクストの前田氏)。

メーカーにとっては「新たな収入源」に

大型・高価格帯テレビのリモコンには、すでに多くの動画配信ボタンが設置されている。国内大手メーカー4社(ソニー、パナソニック、東芝、シャープ)の最新機種(55インチ)では6~7つ。うち、ネットフリックス、アマゾンプライムビデオ、ユーネクスト、フールー、アベマの5サービスは全機種を制覇している。

そのほかにも、YouTube(ユーチューブ)やParavi(パラビ)などのボタンも搭載されている。ここに挙がっていないサービスがほかの機種で採用されているケースもあった。

リモコンにはサイズやデザインの制約があるため、ボタンの数を無限に増やすことはできない。さらに、リモコンボタンの設置が決まっても「設置場所を巡る争いもある。どのサービスを視認性の高い位置に置くかなど調整すべき点は多い」(メーカー関係者)という。

テレビメーカーがこうした選定や調整を熱心に行うのは、動画配信ボタンをリモコンに設置する利点がメーカー側にもあるからだ。

「ボタン設置を無償としているメーカーもあるが、設置のインセンティブ、会員獲得の際の成果報酬など、課金をしているケースもある」(動画配信サービス関係者)。こういったパターンならメーカーは、動画配信ボタンの設置を通じ今までになかった収入源を増やすことができる。

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