松たか子「テレビの枠に収まらない」大女優の格

「告白」以降際立つ「問題のある女」演じる解放感

そして、どこにでもいる、そのへんの女の日常を体現した。風呂場のカランを足だけで動かし、マスターベーションで湿った指を拭いたティッシュで雑に鼻をかみ、経血のついた下着を忌々しそうに洗い、自分は詐欺行為をしておきながら子供を虐待した事件の報道には眉をひそめる。

ドラマが見せない・見せたがらない、女のごく当たり前の日常を、あの松たか子がさらっとしれっとやってのけた。私の中では好感度が右肩上がりに。米国や英国の面白いドラマに出てくる女はみんなこんな感じだよなぁ。これができる土壌って、日本のドラマ界にはないんだよなぁ。

「日本3大喪服が似合う女」の1人

また、妙に「喪服が似合う」ことも挙げよう。夏川結衣・黒沢あすかと並んで「日本3大喪服が似合う女」と断言しておく。華美と露出を排除したデザインの喪服でも、そこはかとなく艶めかしい雰囲気を出せるのはこの3人だと思っている。

気のせいかもしれないが、ドラマでも映画でも、松たか子は喪服を着る役が結構多い。『コートダジュールN°10』(2017年・WOWOW)では葬儀で遭遇する昔の友人役、映画『ラストレター』でも姉の葬儀から始まり、喪服姿で登場。人の死から始まる物語にしっくりはまるからなのか、あるいは松たか子に喪服を着せたいと思う人が少なからずいるのか。伊丹十三が存命だったなら……と妄想もしちゃう。

ま、喪服は個人的な主観だが、「歌がうまい女」は万人が認めるところだろう。『アナと雪の女王』が最も有名だが、舞台でも彼女の歌声と演技力は重宝されている。王道・正統派ミュージカルはもちろんのこと、NODA・MAPに劇団☆新感線、蜷川幸雄に串田和美、三谷幸喜、長塚圭史、ケラリーノ・サンドロヴィッチと名だたる劇作家や演出家から選ばれ続けているのだから。

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