成長や変化・刺激のない仕事はつまらない。昇進する見通しの持てない組織は重苦しい。将来の職や稼ぎを不安に思い始めるときりがない。若者がこうした状況と心境からFIREに憧れているのだとすると、いささか残念だ。
だが、人は単に生活していけるだけで満足な生き物ではない。(「すべての」ではないが)多くの人に、「他人とのかかわり」と「他人からの承認」に対する欲求がある。そして多くの場合、他人との関わりにあって真剣で張り合いのあるものは、本人の「仕事」だろう。従って、「FIREを達成!」したけれども「仕事がつまらない」という状態は、そう幸せにも思えない。
両者は必ずしも排他的な比較対象ではないが、「面白いと思える仕事をしていて、いつでも職と稼ぎが得られる状態」を達成できている人は、「FIRE」の達成にそれほどの魅力を感じないかもしれない。
FIREの達成方法は?
FIREには、もちろん長所がある。筆者が思うに、FIREの最もいいところは、働かずに遊んで暮らせることではなく、会社と対等の関係を結ぶ基盤になることだろう。
好きな仕事でいくらでも転職できる人は、必ずしもFIREに魅力を感じないかもしれないと先ほど申し上げたが、自分ができる仕事の好き嫌いや、転職の自由度の多くは「程度の問題」だ。いざ会社と決裂してみたものの、転職先がなかなか見つからないこともあるかもしれない。生活の心配はある。
その点、FIREを確信できる金融資産があれば、「生活には心配がない」ことが可視化される。会社を批判したり、嫌な仕事を断ったりすることがやりやすい。
筆者自身の過去を振り返ると「あのとき、自分がFIREの状態にあれば、ちがった行動を取ることができたのに」と残念に思う事案がある。やはり、十分な金融資産を持っているのは、いいことだなあ! では、FIREはどのように達成できるのか。例えば、普通のサラリーマンならどうだろうか。
考えられる方法は3つある。
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