うつに不眠、「心の異変」相次ぐ医療現場の実態 医療従事者のメンタル悪化が放置される背景
2020年12月、長野県のある公立病院では近隣の2カ所の介護施設で新型コロナウイルスのクラスター(集団感染)が発生し、多数の感染患者を受け入れた。それまで最低限の人員で回していたコロナ病棟には、新たにほかの病棟から看護師が投入された。
「準備期間がなく、ぶっつけ本番に近い状態でコロナ病棟に入った。感染防護具を着るのも初めてで、感染の恐怖は大きかった」。コロナ病棟に回された看護師は、こう振り返る。この病院では看護師5人が院内感染しているという。
家族への感染リスクを懸念
コロナ患者を受け入れる別の病院で働く理学療法士の男性は、昨年11月下旬にうつ症状が現れ、通院するまでになった。症状が出る前、男性が働く病院ではクラスターが発生。自宅には生まれたばかりの子どもがいたため、家族への感染リスクを懸念し、ホテルで寝泊まりする日々が続いていた。
地方自治体職員の労働組合の自治労(全日本自治団体労働組合)が昨年、公立病院で働く医療者に行った調査によると、コロナ患者と直接かかわる職員の約2割にうつ症状の自覚があった。
コロナの感染拡大から1年以上。足元では第4波も広まり、病院職員の間で長期戦によるメンタルの悪化が深刻さを増している。
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