いずれも「ワクチン接種」は日本よりは進んでいるようです。
一方で、ドイツの状況はずいぶん厳しく、「半年以上ロックダウン」という状態が続いていますし、他の多くのヨーロッパの国々も状況は厳しいままです。
アメリカもイギリスも大変な数の犠牲者を出し、長らく厳しい規制下に置かれていたことを考えると、日本の状況は「比べ物にならないぐらいいい」(ベルリン市在住の冨永真実子さん)とも言えるわけですが、そういった評価にもかかわらず、日本人の怒りは沸点に達しています。
今回、10人の海外在住の日本人に話を聞きましたが、8人が「感染は収束している」と回答。驚いたのは、9人が「その国の政権やリーダーを信頼している」と答えたことでした。ひどい状況の続くドイツでさえ、メルケル首相への支持率はそれほど下がっていないというのです。
その理由を冨永さんは「少なくとも『説明責任を果たしている』と認識されている」と分析しています。
「トップのメッセージがクリアで、市民にはリーダーシップがあると映る」「メディアとの関係が良好で、政権の方針に対して、国民も社会もメディアも協力的。結果、滞っていたいろいろなことがスムーズに流れている」(アメリカ)、「首相が定期的に状況のアップデートを3カ国語で会見。国民目線に立って語りかけ、一体感を感じさせてくれた」(シンガポール)と手放しの評価です。
「国と国民との信頼関係」が欠如している日本
日本人のモヤモヤポイントはたくさんあるわけですが、根本にあるのは「国」と「国民」との間の「コミュニケーション」、そしてそこから生まれるはずの「信頼関係」が「決定的に欠如している」ということではないでしょうか。
「信頼(Trust)の欠如」。これは今の日本の多くの問題の根幹にあるのかもしれません。
「組織の運営や企業の経営において特に重要なもの。それが信頼である」。アメリカの神経経済学者で、クレアモント大学院大学のポール・ザック教授は、こうした学説を唱え、「信頼」についての多くの学術的研究を発表しています。
「リーダーや社員間の信頼関係が高い企業」は低い企業に比べて、ストレスが74%減り、生産性は50%、人生への満足度が29%上がったそうです。
そこには「幸せホルモン」と言われる「オキシトシン」が深く関係していると彼は指摘します。
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