百貨店「また休業」で早くも崩れる再建の青写真 業界の陳情は実らず、気になる大手の資金繰り

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だが、陳情活動による必死の抵抗も実らず、百貨店各社は休業要請に応じざるをえなかった。ある百貨店大手の関係者からは「百貨店では営業時間短縮はもちろん、高水準の感染対策を徹底している。感染源になった根拠はないのに、一律に休業を求められるのはどうか」と不満の声が漏れる。

休業に応じた事業者には協力金が支払われることになったが、東京都の場合はその上限が1日20万円にとどまる見込み。単純計算すると、伊勢丹新宿本店の1日当たりの売上高は6~8億円ほど。現状の協力金では、百貨店大手にとって雀の涙にもならない程度の金額だ。

出だしからつまずいた再建の道筋

4月12日に発表された高島屋の2022年2月期業績予想によると、売上高に相当する営業収益が前期比19%増の8120億円、最終損益が100億円の黒字(前期は339億円の赤字)まで回復する見込み。翌13日発表のJフロントも、同期に総額売上高が30%増の1兆50億円、最終損益が40億円の黒字(前期は261億円の赤字)を予想する。

この両社の計画は、訪日外国人客の回復こそ見込めないものの、国内客を中心に徐々に客足が戻ることを前提としている。

高島屋では新たに策定した3カ年の中期計画で、2024年2月期の営業収益8500億円、営業利益300億円を目標に掲げ、百貨店事業の再生をその柱に据えている。同社の村田善郎社長は4月12日の決算会見で、「(2022年2月期の)インバウンドを除く国内百貨店事業については、上期に2019年度比で7%のマイナス、下期には2019年度レベルに戻したい」と意気込んでいた。

だが、今期計画の策定時点では当然ながら、休業影響を織り込んでいない。百貨店再建に向けたロードマップが、出だしからつまずいた格好だ。

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