「余計な一言」を言う人が好かれるはずもない訳 言葉を発する相手の感情に寄り添えていますか

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クライアントさんと書いたその人は、女性の経営者でした。

私のところに来始めた頃は、普通のOLでしたが、その後起業し、ずば抜けた経営センスで今や全国で大活躍している女性起業家。

私も彼女から学ぶことがたくさんある方です。

「男女問わず、人というものは自分を理解してほしい生き物」

人にはいつも伝えているものの、私はこの時すっかりこのことを忘れ、昔の自分に戻っていました。

すぐに結論を出そうとしてしまい、それ以外のことはあまり重要視しない。良くなるためには、最短で結果の出る方法を考える、というドライな自分がいました。

ただ、大切なのは、「言葉の意味」ではなく「その奥にある感情」です。

今風に言えば、空気を読むことの大切さをあらためて彼女の言葉が思い出させてくれました。

「感情にフォーカスする」とは、こういうこと

言葉だけを拾わず、その奥にある相手の感情にフォーカスできるか。

夫婦、恋人、友人、職場の人間関係……。

私たちの人生は、色んな人との関係性の上で成り立っています。

例えば仕事が忙しい時に、奥さん(もしくは恋人)から、

「今は私のことなんか気にしなくていいから、仕事に集中して」

と言われたとします。

その時に「そうか。ありがとう。じゃあ遠慮なく」と相手の言葉通りに仕事に没頭して連絡の一本もしなかったら、おそらくバトルが始まります。

ある日、突然怒りを爆発させた相手に対してあなたは、

「なんでそんなに不機嫌なんだよ! 君だって今は仕事に集中してって言ったじゃないか!」

と怒り始めます。

『人は話し方が9割』(すばる舎)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら

これが相手の「言葉だけを理解した」状態です。

奥さんや恋人からすれば、

「だからといって、あまりにも忘れすぎじゃない? 一本の連絡もできないほど忙しいの? 私の気持ちをまったく理解してくれてないじゃない!」

となるのです。

こうして関係のズレが始まる。ここからはご想像にお任せします。

「相手がこう言ったから」という言葉だけでコミュニケーションを展開していくと、思ってもみない現実を引き寄せてしまうことがあります。

真に大切なのは「言葉」だけでなく、その奥にある「感情」にフォーカスすることです。

永松 茂久 人財育成JAPAN代表取締役

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ながまつ しげひさ / Shigehisa Nagamatsu

大分県中津市生まれ。講演の累積動員数は延べ60万人にのぼる。3坪のたこ焼き屋からスタートし、現在は作家として活躍。自身の執筆だけではなく、次世代の著者育成、出版コンサルティング、経営コンサルティング、出版支援オフィス、講演、セミナーなど、数々の事業を展開する実業家でもある。『人は話し方が9割』『人は聞き方が9割』『リーダーは話し方が9割』『喜ばれる人になりなさい』(すばる舎)など著書多数。

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