トップ直撃!春秋航空「日本進出計画」の全容 "黒船LCC"に勝算はあるか

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つまり、春秋航空日本として国際線も視野に入れているようだ。ただ、それには前提条件があることを、王会長は強調する。

「日本で国内線を運航してからの話だ。春秋航空日本による国内線の就航は、グループにとって1つのステップになる。春秋航空は中国で唯一のLCCだが、規制緩和で今後、中国ではどんどんLCCが出てくる。東南アジアのLCCも中国に路線を熱心に開設している。

そういった競合と競争していくうえでは、春秋航空グループの品質や安全性を高めなければならない。そのために、サービス品質の高い日本で定時性や安全面などを学び、しっかりと基盤を築く。春秋航空本体が日本人を採用するだけでは、レベルはなかなか向上できませんから」

春秋航空日本がモデルケース

王煒会長の父である王正華氏は、春秋グループのトップを務める

では、中国の春秋航空と春秋航空日本はどのような連携を図っていくのか。

「将来的には、整備士や客室乗務員の交流も考えている。頻繁に交流することで、 日本の品質やきめ細かさを学び、春秋航空日本がモデルとなり、中国の春秋航空が学びにくるような流れを作りたい。

中国と日本のクルーの違いについて、マインドに大きな差はないが、中国の春秋航空の客室乗務員(キャビンアテンダント=CA)には未熟な部分がある。日本で実際に航空事業を行うことで学んだほうがいいと考えた」

3月には、JTBからの出資を受けた。同社の出資比率は5%未満(数億円)で経営支配力はない。ただ、アジア旅行市場でナンバーワンを目指すJTBは、訪日旅行も国内旅行も、地方観光がカギと考えている。大手が地方路線を縮小する一方、LCCの便数が増えているため、春秋と組んで訪日中国客向けのパッケージツアーを拡販すれば、日本の地域活性化になると踏んだようだ。

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