トヨタの高度運転支援は圧倒的に安心・安全だ 高速道路で実際に乗ってわかったスゴい実力

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もっとも、日常的に使うようになり、「Advanced Drive」の検知能力や機能への信頼感が生まれたときには、ここまでの表示はいらないと思うようになるかもしれない、とも感じた。表示はある程度、カスタマイズが可能でもいい。

車線変更や追い越しの際に承認が必要で、かつステアリングを保持させるのも、やはり安全志向からのことだ。正直に言うと、ハンズオフで走っているのに、そのたびにいちいち手をステアリングに戻すのは、とくに「HONDA Sensing ELITE」を経験した後ではなおのこと、違和感というか面倒な感は否定できない。ちなみにこれはレベル2、つまり運転の責任をドライバーが負っている状態での機能なので、「Advanced Drive」もしようと思えば実装は可能である。

一方で「HONDA Sensing ELITE」に乗ると、今はまだ本当に手放しのままでいいのかと思ってしまったりもするのだが、しかし今この時点で手を放せないとなると、じゃあそれはいつ実現するのか?という疑問も湧く。100%安全になるまで実現しないというのでは、おそらく永遠にその日は来ない。

例えば今後は、ハンズオフ可能なときのために、ステアリングリムの下側を何となく手を置いておくのにぴったりな形状にしておく、なんてことを考えてもいいのかもしれない。必要なときにはスッと持ち直せばいい、くらいの感覚であれば所作の違和感は少ないのではないか。

レクサス/トヨタ流の慎重さの表れか

何より、ここまでできるのにまだレベル3を実装しないというのも、やはりレクサス/トヨタ流の慎重さの表れだろう。そして実際に使ってみても、今のところはこれで十分という気もする。それこそ自由にケータイでも触っていいならレベル3が欲しくなりそうだが、レベルにこだわらずドライバー負担を軽減し、安全、安心に貢献する機能を実現するという「Advanced Drive」の考え方は、乗れば説得力がしっかりある。

最後に価格について。試乗したLS500h EXECTIVE Advanced Driveは1794万円というプライスタグを掲げている。EXECTIVEとの価格差は66万円だ。富裕層が買うと想定してみれば大きな差ではない。しかも限定100台のレジェンドと違って、こちらはレギュラーモデルである。

実は機能や制御の不満については、OTA(無線通信を経由したデータの送受信)によるアップグレードも用意されている。つまり今後も数多くのユーザーが実際に使用し、そのデータも活用しながらの進化がどんどん実現していきそうなことこそ、この「Advanced Drive」の最も楽しみなところと言っていいのかもしれない。

島下 泰久 モータージャーナリスト

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しました・やすひさ / Yasuhisa Shimashita

1972年生まれ。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。走行性能からブランド論まで守備範囲は広い。著書に『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)。

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