「節約は楽しいですけど何か?」と語る人の脳内 悲しい倹約でない世界がそこには広がっていた

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コロナ以前は筆者もちょくちょく全国に出かけていたものだが、旅行スタイルはやや異なる。観光地に行くよりも、現地のスーパーや100円ショップ、ドラッグストアや直売所に必ず立ち寄った。もちろん東京よりも安いものを探すためだが、その土地ならではの小売り事情に触れることができるのは楽しい。

まず、地方は車社会なので100円ショップもドラッグストアも駐車場を備えた大型店ばかり。売っているものも、ガレージ用品やペット・園芸用品の品ぞろえが豊富で、ホームセンターに近かったりする。100均の食品コーナーも売り場面積がかなり広い。行けば行っただけユニークな発見がある。とくにドラッグストアは、その県域でしか営業していない独自チェーンも多く、「こんなPB商品、見たことない」なんて発見も。

かと思えば、地元のスーパーだと思って入ったら、ことごとくイオンのPB商品が並び、レジではWAONで決済する人ばかりと、「地方スーパーは、どこもイオン傘下になっているなあ」としみじみ感じたりもした。現地の店に入ってみるとその土地の暮らしが垣間見えて、いい社会勉強になる。また、その土地の物価水準や食文化がわかるので、コロナ禍で地方移住を考えている人なら、ぜひ覗いてみるといい。

「何が楽しいの」は節約に挫折した人の言葉か

「節約はクリエイティブだ」というのが、このコラム連載のサブタイトルだ。ここまで読んでいただくとわかるように、ぼーっとしていては節約はできない。売り手側の思惑を考えたり、安く買うための情報収集をしたり、安いお金でも満足できるレジャーを探したりと、日々頭をフル回転させる必要がある。そして、そのプロセスを楽しめる人が節約の達人なのだと思う。

そもそも楽しくないことは続かないのだ。「節約して何が楽しいの」とは、それがつらくて挫折した人がそう思うのだろう。節約にも向き不向きはある。やって楽しくないことはしなくていいし、しんどい節約なんて長続きしない。筆者を含め、節約好きという人は、それが楽しいからこそするのだ。つまり趣味である。

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多くの人は趣味にお金をかけるが、節約好きの人は趣味に没頭して、かつお金を浮かす。楽しみながらお金が浮くなんて、最高ではないか。

私事で恐縮だが、筆者は節約というジャンルを追求してきたことが、こうして仕事にまでつながっている。まさに、「好きなことを仕事にしている」わけだ。

とはいえ、多くの節約家にとって、お金を貯めること自体が最終地点ではない。ちゃんと使うべき目的や夢を持っている。そのためにも、ムダに使っている場合じゃないのである。もし、それが不思議に見えたとしても、あの人は楽しんでいるのだなと放置していただけるとありがたい。

松崎 のり子 消費経済ジャーナリスト

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まつざき のりこ / Noriko Matsuzaki

20年以上にわたり『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『マネープラス』などのマネー記事を取材・編集。家電は買ったことがなく(すべて誕生日にプレゼントしてもらう)、食卓はつねに白いものメイン(モヤシ、ちくわなど)。「貯めるのが好きなわけではない、使うのが嫌いなだけ」というモットーも手伝い、5年間で1000万円の貯蓄をラクラク達成。「節約愛好家 激★やす子」のペンネームで節約アイデアも研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社)、『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。
【消費経済リサーチルーム】

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