「節約は楽しいですけど何か?」と語る人の脳内 悲しい倹約でない世界がそこには広がっていた

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そもそも、これが欲しいと思った理由はなんだろう。前から欲しかったから? 友人が勧めていたから? それとも半額だから? その理由が腑に落ちれば買えばいいし、いくら安くても不要と判断すれば、買う必要はない。節約を意識する人ほど、いるモノ・いらないモノをしっかり見極めるようになる。

これを繰り返し続けていると、だんだん自分にとって何が大事で、何が不要なモノ・コトかがわかってくる。ほかの人の評価や価値観ではなく自分自身の軸が定まれば、やみくもな物欲に悩まされずに済むようになる。すると、お金だけでなくムダな時間も減らせるのだ。

そんなこと言わずに、たまには贅沢したら?ともよく言われるが、そもそも贅沢って何だろう? それはお金がなければ叶わないことだろうか? 誰もが贅沢だと思い浮かべるものとは、とどのつまり他人が決めた価値観ではないのか。お金を残している人は、何でも切り詰めているわけではない。自分が大事にしたいところにはかけ、十分満足を味わっているのだから。

満足できるお金の使い方ができ、人の意見に惑わされることもなく、かつ貯蓄も増える。これほど楽しいことがあるだろうか。

「安さのからくり」にワクワクする

節約といえば、安いお店との出会いも大切だ。どんな店なら安く買えるのか、節約家はそれを日々フィールドワークする。

例えば、同じブランドの食品でもスーパーよりもドラッグストアが安いのはなぜだろうかと考える。これは、ドラッグストアは食品で儲ける必要がなく、客寄せのために値引きをしているからだ。こんな風に「安さの理由」を考えるようになる。

倉庫タイプのディスカウントストアは、大量仕入れや賞味期限間近の商品を並べて、一気に売りつくすために安くするのではないか。また、トイレットペーパーなどの日用品も、都心よりは住宅街にある店のほうが安いのは、需要の違いや家賃との関係だろう。

カレンダーや季節も大事だ。小売店が25日にポイントアップデーを実施するのは給料日を当て込んでいるのだろうし、最近は年金支給日の15日にもセールがある。はたまた中古ブランド店では、年間で大規模なセールを行うのはクリスマスシーズンと聞いて妙に納得したり。家電なら新製品発売のサイクルやら、売り上げを立てたい期末やら、「このあたりに値引きセールがありそう」と考えるのも節約の副産物だ。

このように「安さの理由」を観察していると、だんだん売り手側の思惑が見えてくる。「安く買うには」を日々考えていると、売る側の思考にたどり着く。どうやって安くするか、どうやって買わせるか、そのからくりを消費者側から読み解く作業はワクワクする。安い店で買い物をしながら、「なぜ安いか」分析という脳内エンタメも同時に体験できるのだ。

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