スズキ新工場稼働で問われるインド事業の難題 二度の稼働延期、シェア50%を維持できるか

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スズキも韓国勢に対抗してラインナップの拡充を進めており、約55万円の小型SUV「S-PRESSO」を2019年に投入した。とはいえ、SUVへの参入では後塵を拝している。

2月に行った中期経営計画の発表会の席上で、鈴木社長は「インドの市場で(シェア)50%を死守するというのは非常に大変なことだと思う。現在もSUVセグメントでは他社にリードを許しているという状況にある」と認めている。日本国内では軽自動車や小型車が主力のスズキにとって、莫大な開発費のかかるラインナップ拡充は並大抵のことではない。

もう1つの鍵が販売網だ。スズキがインド市場に参入したのは、1983年にインドの国営企業「マルチウドヨグ」と合弁会社を設立したときだ。黎明期にあったインド市場で長らく事業を続けたことで、強固な販売・サービス網を築き上げた。とはいえ、いま以上に販売台数を伸ばすのであれば、販売網のさらなる強化が必要になる。

移動式トレーラーで認知度を拡大

スズキはインド国内で中高級帯車種を扱う販売店ブランド「NEXA」を展開している。2019年からはNEXAの移動式店舗を展開し、インドでの裾野を広げようとしている。移動式店舗の狙いは販売店がない地域にトレーラーを展開し、スズキの認知度拡大を図ることだ。

スズキの鈴木俊宏社長は「農村部での需要開拓をしっかりやって、シェアを伸ばしていきたい」と語る(写真:スズキ)

鈴木社長も「これまで、スズキが車を売って行く対象にしていたのは13億人いるインドの人口のうち、3億人ぐらいだった。農村部での需要開拓をしっかりやって、シェアを伸ばしていきたい」と話した。

2月に発表した2020年4~12月期決算で、マルチスズキはスズキ全体の34%に相当する477億円の営業利益を計上した。インド事業の帰趨が今後もスズキの命運を左右することになりそうだ。

中野 大樹 東洋経済 記者

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なかの たいじゅ / Taiju Nakano

大阪府出身。早稲田大学法学部卒。副専攻として同大学でジャーナリズムを修了。学生時代リユース業界専門新聞の「リサイクル通信」・地域メディアの「高田馬場新聞」で、リユース業界や地域の居酒屋を取材。無人島研究会に所属していた。趣味は飲み歩きと読書、アウトドア、離島。コンビニ業界を担当。

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