スズキ新工場稼働で問われるインド事業の難題 二度の稼働延期、シェア50%を維持できるか

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ただ、2021年に入ってインドの自動車販売は上向いている。2月の乗用車販売台数は前年同月比17.9%増の約28万台となり、2月の販売として過去最高を記録した。

インド国内でスズキ向けに供給する部品メーカーの財務担当者らは「インドはようやく回復局面に入った」と口をそろえる。

スズキの鈴木俊宏社長は2019年、首都大学東京(現・東京都立大学)で学生向けに行った講義で「インドは2030年には(新車販売が)1000万台の市場になる。当社はその半分の500万台を売りたい」と語るなど、インドの成長へ熱い期待をかけてきた。

激化する中国、韓国勢との競争

とはいえ、500万台目標の達成は容易ではない。インド市場の成長ポテンシャルに目をつけた長城汽車や上海汽車といった中国勢や、韓国の起亜自動車が近年相次いでインド市場に参入しており、スズキを取り巻く競争環境は厳しくなっている。

グジャラート工場の様子。スズキモーターグジャラート社は生産のみを行い、販売はマルチスズキが担当する(写真:スズキ)

スズキが50%のシェアをインド市場で維持できるかどうかのカギは2つある。1つが車種の強化。スズキが得意とするのは低コストで生産しつつ、一定以上の品質があるエントリークラスのセダンだ。

例えば、小型車「アルト」のエンジンを大きくしてインドでは約45万円で販売している。自動車が普及途上のインドでこうした比較的安価な車種が人気を集めている。

経済成長に伴ってインドの労働者の所得も伸び、自動車も普及している。同時に、セダン以外にSUVタイプも人気を集め、韓国の起亜は2019年末、約145万円する中型SUV「セルトス」を投入し、2020年のインド販売シェアを6%に伸ばしている。

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