「違うこと」を急に始める人に見られる共通点 「自分探しをする」と言う子にすべきアドバイス

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仕事のスキルであれ、人生における知見のようなものであれ、人が経験を通じて成長するという過程においていちばん重要なことは、現状を正確に理解し、受け入れ、そのうえでどうするかを考え行動するということです。

つまり理想の自分に近づくためには、現状から逃げるのではなく、立ち向かう努力が必須です。

今の自分のいいところは何か、反対に至らない点はどこなのか?

そのうえで自分は長所をとことん伸ばすべきか、短所を補うべきかなどを考え行動するのです。

そのような自分に合致した形の具体的な行動に移すためには、将来の成長に対する行動や投資のスタート地点が今時点の自分にある必要があるのです。

まずやるべきは、自分の現状をキチンと把握すること

現状を現状として受け入れて初めて成長のための対策が図れるということであり、現状の理解なしに自分を変えることはできません。

自分探し的な発想は、現状を受け入れることなく、そのスタート地点を想像上のどこかほかに設定してしまおうとするから、ワケがわからなくなりますし、いつまでたってもその「理想のスタート地点」が見つからないのです。

本来は、現状の自分と理想の自分のギャップを埋めるべく、スタート地点である現状を理解し、ギャップを埋めるための具体的行動に移すべきなのですが、自分探し的な発想では、スタート地点を現状とは異なる想像上の、しかも現状よりはるかに高い地点に設定しようとしてしまっているという矛盾が生じます。

であるがゆえに、いつまでもそのギャップを埋めるための具体的施策にもつながらない、ということになりますし、そもそも論としてどこをスタート地点とすべきかがいつまでたってもわからない、ということになるのです。

ですから、息子さんのケースでもまずやるべきは、現状抱えている不満の正体や根源を突き詰めることであり、自分にとっての向き不向きを現実の生活の中から考え、そして自分の考える幸せの形や反対にやりたくないことや不幸な状態とは何かを考えてみることです。

繰り返しですが、その際に重要なのは現実逃避をすることではなく、現時点の自分の生活を前提とした際に、何が不満で何が幸せなのかを考える、つまり自分の現状をキチンと把握する、ということです。

そうした「現状把握=自分をキチンと理解する作業」をしないまま休学したとしても、現時点における自分自身を理解していない状態が変わるわけではありませんから、行動も何も変わらないでしょう。

休学してやるべきことが見えていないのも、この自分をキチンと理解するということをせずに、「何かすれば現状打破につながる」という思考になってしまっているからです。

将来は現状の延長線上にしかありませんし、今の自分は過去の自分の行動なりの積み重ねであり、将来の自分はこれからの行動なりの結果でしかありません。

であるからこそ、現状逃避ではなく、現状把握が大切なのです。

そうすることで自分なりの人生の指針や努力の方向性が見えてくるはずです。

ご子息が現状逃避ではなく、そのような思考を通じて理想とする自分に近づくための努力の方向性を見いだし、そのうえで人生において活躍されるであろうことを応援しております。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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