「やらされSDGs」多い日本企業に欠けた重大視点

力強い成長へ理解しておきたい「4つの型」

③未来志向型

環境・社会を含む外部環境の長期的変化や、それによって引き起こされるリスクと機会を理解したうえで、企業の事業全体を新しい変化に適応させていこうとする型のこと。「時間軸が長い」点に加え、リスクだけでなく「機会」を理解している点が、外発的対応の二つの型とは大きく違う。また、リスクも「外部から非難されるリスク」ではなく、「環境・社会の毀損に伴う事業継続に関わるリスク」を理解している点も大きく異なる。

実は、外発的対応の事例のなかには、外部から「機会」の開示を求められて統合報告書などに「社会課題を起点とする機会」を記述している企業もあるが、このタイプとは明らかに異なる。未来志向型の企業は、長期的な視点で環境・社会の動向を考慮し、自ら先頭に立って、能動的、主体的にサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)を推進する。

例えば、オランダの化学企業DSMは、もともと国営の石炭採掘企業としてスタートしたが、時代とともにつねに進化しながら現在は飼料やサプリなどの栄養・食品、衣料用素材、低環境負荷のプラスチックや樹脂などを製造するライフサイエンス・マテリアルサイエンスカンパニーにビジネスを変革してきた。

ドイツのBASFは環境・社会面の価値を金額換算

また、ドイツの総合化学メーカーのBASFは、環境・社会に貢献する企業が長期的に成長できるという考えのもと、バリューチェーン全体を通じて生み出した環境・社会面の価値を金額換算して見える化する「バリュー・トゥ・ソサエティー(社会への価値)」と名づけた取り組みを通じて、経営戦略、事業ポートフォリオ戦略、商品ポートフォリオの入れ替え、研究開発などに関する意思決定に反映させている。

未来志向型の企業は環境・社会の動きに呼応し、将来に向けて事業をダイナミックに変革している。

④ミッション・ドリブン型

内発的対応の一つだが、未来志向型の延長線上にあるものではない。その企業が掲げるミッション・ビジョンそのものが「環境・社会に関わる課題の解決」であり、企業トップが「このような社会の課題を解決したい」という強い信念を持ち、トップの(時にカリスマ的な)リーダーシップを原動力に、事業を推進している型のことだ。

例えば、創業時のミッション・ビジョンに、アメリカの電気自動車大手のテスラは「できるだけ早く大衆市場に高性能な電気自動車を導入することで、持続可能な輸送手段の台頭を加速する」、植物由来の人工肉などを製造・開発するインポッシブル・フーズは、「動物から食料をつくる必要をなくすことにより、世界の食料システムを真に持続可能なものにする」を掲げた。

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