マイホーム購入前に売却ばかり考える人の盲点 投資目的ではない住宅購入に必要な考え方

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理想のマイホームを購入するために必要な考え方は(写真:shimi/PIXTA)
新型コロナウイルスの影響で収入が減少し、住宅ローンを予定どおり返済できなくなったというケースが相次いでいます。コロナで住宅業界が変化する中、マイホームを購入する際は何に注意すればいいのでしょうか。公認会計士の千日太郎氏が「ローン破産」の回避策を解説した『住宅破産』より一部抜粋・再構成してお届けします。

マイホームには2種類の価値がある

コロナ禍で経済は世界的に落ち込んでおり、もちろん日本も例外ではありません。しかし、一方で株価ではダウ平均株価が最高値を更新し、首都圏の新築マンション価格もバブル経済期の水準に高騰するなど、対照的な状況となっています。

先の見えない経済環境のため、より良い物件をより安く手に入れたいと思うでしょう。ただし物件の良し悪しは不動産の価格に完全に反映されています。一般の人が運よく掘り出し物を手にすることなどはありません。安いものには安いものなりの理由が必ずあり、素人が資産性に注目して物件選びにあたるのは、百戦錬磨の悪徳業者の餌食になるリスクでもあります。

またマイホームの購入は不動産投資ではありません。そこでの暮らしに満足して生涯住み続けたとしたら、その後の市場価値が上がっても下がってもまったく影響がないのです。しかし、住宅ローンを完済するために、売却することを想定しなければならない場合は、その市場価値にも目を配らなければなりません。

マイホームの価値についてより深掘りして考えてみましょう。とは言っても「プライスレスだ」などという観念的な話をするつもりはありません。「¥」という貨幣単位で測定することを前提として、マイホームには「市場価値」と「使用価値」の2種類の価値があります。

  • ・市場価値はその住宅が住宅市場において取引される価値です
  • ・使用価値は住むことによって所有者が享受する価値です

市場価値はその物件についている値札の価格で表されるものであり、「いくらで買うか」「いくらで売るか」という世界の数字です。住宅を選ぶときによく目にする数字ですが、数千万円単位の非日常的な金額がついており、いったいそれがどういう数字なのかを実感として把握するのが難しく、ときにそれがストレスにもなります。

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