マイホーム購入前に売却ばかり考える人の盲点 投資目的ではない住宅購入に必要な考え方

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そして、売却するときに市場価値が住宅ローンの残高を下回っている(オーバーローン)と住宅ローン完済の不足分を別途支払わなければならなくなる、恐ろしい面もあります。しかし最後までマイホームを売却しない人にとって、購入後の市場価値はタダの数字でしかありません。一生関わることがなく、見ることもなければ存在しないのと同じです。

使用価値はその物件を自分の住居として誰にも邪魔されずに使用できることです。所有しなくても、使用価値を享受することはできます。例えば賃貸物件であれば使用料として家賃を払うことで得られる価値です。

日常の家計収支の面では賃貸も住宅ローンも同じです。また住宅ローンを滞納すると、住宅を手放さなければならなくなります。マイホームの使用価値を享受するために所有者が払うリアルな「¥」は毎月の住宅ローンの返済額です。

つまり、マイホームをどうしようとしているのか? その局面によって肝になる価値の切り口が変わるのです。しかし、多くの人がその局面と注目すべき価値にミスマッチを生じさせているように思うのです。

市場価値のトラップ

住宅を購入するときに大きな値引きを獲得し、相場よりも安い価格で買ったことを自慢するエピソードを目にすることがあります。同様に自宅が高く売れたことを自慢するエピソードもあります。確かに家を転売して儲ける投資目的であれば、市場価値に注目することが合理的でしょう。また、売り手の立場であれば高く売れるにこしたことはありません。

買い手の立場で考えてみます。マイホームを売る人も住み替えのため、同時に買い手にもなります。これから購入する家を売却せず、ずっと住み続けるのであれば、むしろ使用価値に注目し、そのために払う住宅ローンの毎月の返済額が自分にとって無理のない範囲に収まっているかのほうが重要です。

いくら市場価値よりも安く購入できたとしても、自分にとって住宅ローンの支払いが厳しい場合は本末転倒です。そのうえにその価格が安い理由が〝安かろう悪かろう〟であり、そこに住み続けることが苦痛になってしまったのでは、さらにつらいでしょう。

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