横浜ロープウェー、高さ40m「異常時」どう救助? 海保救難艇からはしご車まで出動して合同訓練
中消防署の担当者によると、当然ながら「ロープウェーのゴンドラにはしご車のバスケットを横付けするのは初めて」のケースになった。リハーサルはなく「どのように近づけるかについては、隊員がその場でより安全・確実な方法を選択することにした」。
緊迫した空気が漂う現場では、消防隊員が無駄のない動きで作業を進めた。隊員と技術的な助言をする泉陽興業の社員が、バスケットに乗り込む。はしごを伸ばし、ゴンドラと同じ高さまで接近した。バスケットはゴンドラとの間を2往復。乗客役を乗り移らせて地上に降ろした。
泉陽興業の担当者、竹原雄一さんによると、ロープウェーはそもそも風速が平均15m以上の強風になるときなどは運休となる。通常は駅舎にあるモーターでロープを動かすが、仮に停電になった場合は、ディーゼルエンジンの動力でゴンドラを移動させることができる。電気は2系統あり、エンジンも両端の桜木町駅と運河パーク駅にある。
訓練は「最悪の状況」を想定
こうした何重ものバックアップ体制となっているため、今回のような救助が必要となることは「99.9%起こらない、最悪の状況を想定した」(竹原さん)という。万が一あるとすれば「脱索」などロープ自体が動かせなくなるケースに限定されそうだ。
竹原さんは「日本初の常設都市型ロープウェーで注目も高まっている。絶対に事故を起こしてはいけないと、全社一丸で運営していきたい」と話す。「今後も消防局や海上保安庁と情報共有をしながら、スムーズに救助ができる訓練をしていきたい」という。
中消防署の味上篤署長ははしご車の訓練を終え「隊員はきびきびと、やるべき安全管理をしっかりしながら対応した。時間通りですね」と満足そうに振り返った。
味上署長は「最悪の場合はゴンドラが止まるということを想定しておかないと、いざ起きた場合に救出ができない。隊員の顔ぶれも変わるので訓練を積み上げていくことが必要だ」と強調。「災害に『待った』はないし、『絶対こういうことは起きない』ということはない。普段から危機管理としていざというときのために備えておくべきだ」と語る。
ヨコハマ・エア・キャビンは民設民営で公費負担はないが、救助訓練は官民一体となって積極的に実施していくことが利用者の安心のために不可欠だ。みなとみらいで観光客からも地域住民からも長く愛される施設になるかどうかは、安全運行の継続と異常時への備えにかかっている。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら