カプコンの買収防衛策、なぜ否決された? 海外IR担当の小田民雄副社長に聞く

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

――海外投資家の支持が得られなかった。

私自身も東海岸に3回足を運び、買収防衛策について説明した。わかったことは買収防衛策という表現自体がきわどいこともあり、まず投資家は反対する。でも3回も議論を繰り返すと、われわれの主張を理解し始める。

カプコンの見えない資産にコンテンツがある。「バイオハザード」「モンスターハンター」といった発売するとミリオンセラーになるかもしれないタイトルは、15~16本ある。でも外部から買ってきたコンテンツはバランスシート上で資産に計上するが、自社タイトルだとオフバランスになる。

だから実際の時価総額よりも、企業価値は高いと思っている。業績が悪化した時も自社コンテンツの評価自体は変わらないため、時価総額と企業価値のギャップが一段と広がってしまう。それに着目する人が出てきて(敵対的買収を仕掛けられて)も不思議ではない。

 議案の取り下げは考えなかった

――機関投資家は買収防衛策の中身に反対だったのか。

たとえば株式1~2%程度を保有するようなヘッジファンドの場合は、短期で利益を上げればいいので、買収のニュースが入って株価が上がった瞬間に売ってしまう。一方、伝統的に長期保有する機関投資家は、将来の企業価値を含めて見るから議論に乗ってくる。「コンテンツのオフバランスを考えると、(敵対的買収は)ありうるよね」といったところまで議論は進んだ。

でも機関投資家というのは背後に投資家がいて、彼らがカプコンの議案に賛成した理由を求められたときに説明責任がある。見ようによっては取締役の保身に見えないこともないし、はっきりわかるまでは反対するだろうなと思います。

――議案を取り下げることは考えなかったのか。

議案に出してから賛否状況を見て、株主総会前に撤回した他社の事例はある。が、取締役会でそれはしないと5月に決めていた。私も取締役会で可決はきわどいと何度も説明したが、総会では賛否を問うから否決も当然あるわけで、反対が多いから議案を下ろすことは潔しとしないとなった。現時点でカプコンに敵対的買収のリスクがあるとは思っていないが、将来の経営のためには必要だから、たとえ否決になっても総会の判断を仰ぐことにした。

次ページ物言う株主とどう向き合うか
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事