るるぶがまさかの「宇宙ガイド」に進出したわけ あの「ONE PIECE」や新日本プロレスまで題材に

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すでに大きな結果を叩き出した例もある。3月4日発売の『るるぶONE PIECE』だ。当初は3万部の発行予定だったが、ファンから事前予約が殺到し発売前に増刷が決まった。税別1250円の価格ながら、すでに9万部のヒットになっている。

企画を担当したのは誌面にも登場する入社3年目の足立優華氏。自ら作品の舞台と思われる場所を探して世界を旅する、筋金入りの『ONE PIECE』ファンだ。超人気作品だけに許諾の可能性は低いと思われたが、集英社にコラボを呼びかけるとまさかのOK。2021年1月に連載1000話を迎えた記念コラボの形で集英社が全面的に協力し、制作が始まった。

総力を挙げてモデル地の検証

「作中に登場した舞台のモデル地を探し出し、 麦わらの一味になった気分で旅すること」がメインテーマだが、作者の尾田栄一郎氏も、一部を除きモデル地は明かしていない。「編集部員と、協力する編集プロダクションのメンバーで単行本を冒頭から読み返して検証し、取り上げる場所をピックアップしていった」(編集長を務めた高橋香里氏)。

作中の舞台とリンクする場所を編集部が独自で検証。キャラクターも多数登場している(写真:『るるぶONE PIECE』より)

制作は海外の『るるぶ』を制作する海外情報事業部が担当した。世界各地の知識や写真などの資料は十分にある。さらにブログ等で作品の関連情報を発信する個人のファンにも協力を得て、検証を進めていった。数多くの情報を詰め込みつつ、初心者向けの作品ガイドや30泊31日の地球一周大航海プランを提案するなど、『るるぶ』らしさも盛り込んだ。

一方で、通常の『るるぶ』では経験したことのない苦労もあった。作品の世界観を守ることだ。誌面には主人公のルフィをはじめ、多数のキャラクターが登場しモデル地を案内するが、短い一言のコメントでも作者やファンにとって違和感がないものにしなければならない。集英社とは幾度となく調整を繰り返したという。

最終的に制作には約半年を費やしたが、尾田氏から「これはまじで楽しい!!」との直筆コメントが寄せられ、表紙を飾っている。未経験の分野でも、既存の『るるぶ』のノウハウを存分に活かすことができた。高橋氏は「こういうこともできるんだと、改めて気づかされた」と振り返る。

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