コロナ対策「まん防」で八方ふさがりの菅首相 感染拡大なら東京五輪・パラ開催中止の決断も

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菅首相は1日の対策本部で「まん防」初適用について「区域、期間を限定して集中的に対策を講じるもので、緊急事態宣言に至ることを防ぐための措置」と強調。対策本部後のぶら下がりインタビューでも感染再拡大による緊急事態宣言発令の可能性について、「そうならないように対策を徹底する」と繰り返した。

日本医師会の中川俊男会長は3月31日の記者会見で、「(全国のコロナ感染は)確実に第4波に向かっている」と指摘。そのうえで「早め早めの手を打つことが重要」として、政府に「まん防」適用を躊躇しないよう要望した。

変異ウイルス拡大で対応を変更

これに対し、政府は当初「ぎりぎりまで様子を見守る」と慎重だったが、大阪府などでの変異ウイルスによる感染拡大が鮮明になったことで「菅首相も急遽対応を変えた」(政府筋)とされる。

ただ、「世界的に急拡大している変異型ウイルス感染の実態は未解明で、感染防止対策も手探り状態」(厚労省幹部)というのが実情だ。菅首相も「ここで後手を踏めば、緊急事態宣言という最悪の事態につながりかねないとの危機感から対応を変えた」(政府筋)とみられている。

一方、大阪などへの適用は「今回の感染再拡大対策の序章にすぎない」(同)とみる向きが多い。大阪は東京などに先駆けた2月末に宣言解除を要請、政府も受け入れた経緯がある。「大阪の現状は、2週間後の東京の姿」(感染症専門家)との見方が多く、3月22日から宣言解除となった東京など1都3県でも、ここにきて感染再拡大の傾向が目立つ。

このところ目立った発言のない小池百合子都知事も焦燥感を露わにし、「これ以上感染再拡大が進めば、3都県一体で政府に『まん防』適用を要請する」(都幹部)とみられている。

今回適用対象となった宮城だけでなく、青森、山形両県でも感染が急拡大している。過去最多の1日当たり新規感染者数を記録するケースが続出しており、今後、各都道府県からの適用要請が相次ぐ事態も想定される。

「まん防」はそもそも緊急事態宣言の前段階の感染爆発防止措置との位置づけで、適用後も感染拡大が止まらなければ、政府も3回目の緊急事態宣言に踏み切らざるをえなくなる。

菅首相は宣言全面解除決定の際の記者会見で「なんとしても再拡大を防止するのが責任」と明言した。だが、立憲民主党の枝野幸男代表は、第4波での緊急事態宣言となれば「内閣総辞職では済まない」と厳しく追及した。

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