スエズ座礁で浮上、「コンテナ巨大化」の危うさ

国際物流競争で規模拡大、高まる物流リスク

今回の事故からはいくつもの教訓が得られる。1つは、コンテナ船の巨大化による事故リスク増大への対応だ。東京海洋大学の南清和教授(船舶工学)は、「今回の巨大コンテナ船の事故は起きるべくして起きた」と指摘する。

エバー・ギブンは全長約400メートル、幅は約58メートルで、長さ20フィートと40フィートのコンテナを1万0788個(20フィートコンテナ換算では1万8349個相当)積んでいた。20フィートコンテナを最大約2万個積めるため、「満載に近い状態」(正栄汽船)だった。

「巨大コンテナ船の特徴として、船の全長や幅が大きい割には喫水(船の海面から船底までの深さ)がさほど深くない。そのため、受風面積が広く、風の影響を相当受ける。巨大な船舶といえども、外力にあらがうだけの出力を持ったエンジンを備えているわけでもない。強風にあおられた結果、舵による船の針路保持ができなかったのではないか」。南教授は今回の事故原因をこのように推定する。

止まらぬコンテナ船の巨大化傾向

船舶事故に詳しい保険業界関係者によれば、「ここ数年、コンテナ船の巨大化に伴う事故リスクの増大が指摘されており、船のタイプとしては、超大型タンカー(VLCC)よりもリスクが高いとみなされている」という。テレビ画面に映し出されたエバー・ギブンの要塞のような姿は、ルールどおりにコンテナを積載しているとはいえ、とても尋常なものには見えない。

国際物流の規模拡大が続く中、コンテナ船の巨大化傾向に見直しがかかることはなかった。

ドイツの保険会社アリアンツのリポートによれば、1997年に最大で8000TEU(20フィートコンテナ換算で8000個積み)だったコンテナ船の規模は、2020年に2万4000TEUへ3倍に拡大している。今回、座礁事故を起こしたエバー・ギブンを上回る巨大コンテナ船もすでに実用化されている。

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