スエズ運河座礁事故がコロナからの回復に冷水

1日当たり約1兆1000億円の物品が滞留

スエズ運河から遠く離れた米中西部で、工業用接着剤を製造する多国籍企業の最高幹部が、巨大コンテナ船の座礁でふさがれた運河と自社への影響を最小限にとどめる方法とに関心を注いでいる。

復旧作業に成果が見られない先週後半の段階で、HBフラーのジム・オーエンズ最高経営責任者(CEO)はアナリストらに対し、化学品の「サプライチェーンにかかっている圧力をさらに強めるものだ」と指摘。「全てがマイナスに働くのだろうか。そうではないだろうが、われわれは極めて慎重に注視している」と語った。

スエズ運河で座礁のコンテナ船、復旧作業で重大局面迎える 

スエズ運河で座礁したコンテナ船「エバーギブン」

世界経済という視点で、影響が危ぶまれているのはスエズ運河を定期運航する船舶に積まれた1日当たり約100億ドル(約1兆1000億円)相当の商品や資材、消費財で、サプライチェーンを巡る懸念は主にアジアの輸出業者と欧州の輸入業者に対するものだ。経済全般のコストはスエズ運河がふさがれた状態の継続で日々増えているが、18兆ドルに上る世界の年間貿易額との比較ではまだ小さい。

一方、IHSグローバル・インサイト(シンガポール)の海運・貿易担当副社長ラフル・カプア氏は26日にブルームバーグ・テレビジョンとのインタビューで「新型コロナウイルス禍からちょうど回復基調に入ろうかという、既に制約を受けているサプライチェーンにとってかなりの打撃だ」と指摘した。

長期的には、過度のグローバル化の危険性と予想できないリスクがあまりに大きいサプライチェーンについて再考を迫られる可能性がある。

スエズ運河の南側入り口で待機する船舶(3月27日)

ただ、こうしたリスクを過大評価することは過ちかもしれないと世界貿易機関(WTO)のチーフエコノミスト、ロバート・クープマン氏は指摘する。スエズ運河遮断は世界的なサプライチェーンが解体のリスクにあることを意味しないとし、相互につながった世界経済の営みの一部にすぎないとみている。

アリアンツ・リサーチによると、スエズ運河の通行不能は1週間ごとに世界の貿易の伸びを0.2ー0.4ポイント押し下げる恐れがある。ただ座礁事故の前でも年初来のサプライチェーンの混乱で貿易の伸びは1.4ポイント抑えられていた可能性があり、その直接の影響は約2300億ドル相当という。

原題:Shock-Worn World Economy Girds for Supply Jolt in Suez Mess (1)(抜粋)

著者:Brendan Murray、Bryce Baschuk

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