「ほっともっと」がコメの自社生産に乗り出す訳 業界では異例!食材流通の「最上流」への進出

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国内店舗で自社生産米を使用する計画は現時点でないが、担当者は「生産コストを引き下げるノウハウが確立できれば、国内で検討することもありうる」と話す(記者撮影)

持ち帰り弁当チェーン「ほっともっと」などを展開するプレナスが、コメの自社生産に乗り出した。食材流通の「最上流」と言えるコメ作りにまで外食・中食業界の企業が進出するのは異例だ。農業経営のノウハウを一切持たないところからのスタートで、一見非効率のような取り組みをなぜ進めるのか。

海外店舗に供給、現地米の代替狙う

「ほっともっと」や和食レストラン「やよい軒」を展開するプレナスにとって、コメは最重要の食材だ。フランチャイズや直営で約2890店を擁する国内では年間約4万トンを使用する。卸業者や生産者団体などを通して国内の米どころから仕入れた玄米を、自社工場で精米したうえで店舗に供給している。

一方、タイや台湾、韓国などで約260店を展開する海外(年間使用量約1000トン)では現在、現地米や日本からの輸入米で全量を賄っている。海外店舗数の7割超を占めるタイでは現地で生産されるジャポニカ米を調達するものの、日本のコメに比べて味や品質の安定性などの面で大きく劣る。

台湾で展開する和食レストラン「やよい軒」(写真:プレナス)

その解決策として浮上したのが、海外店で使用するコメを自前で生産する案だ。国産米であれば品質の問題はクリアでき、卸業者などを通した場合に発生する中間マージンを可能な限り省くことでコスト削減につなげられる。「日本の食ブランド」として海外展開するうえでは、国産米を使うことでのブランディング効果も期待できる。

2020年2月にプロジェクトチームを立ち上げ、検討を進めてきた米づくり事業推進室の佐々木哲也室長は「コメ流通の川上から川下まで一貫して関与することで業界のコスト構造が把握でき、生産者との交渉などにも効果が期待できる」と話す。

自社生産の場所に選んだのは、埼玉県加須市にある約2.2ヘクタールの農地。現行法では企業による農地の購入には国家戦略特区など一部を除いて厳しい制約があるため、農地中間管理機構(農地バンク)を通して借り受けた。作付けするコメの銘柄は検討中だが、5月ごろに田植えをし、10月ごろには約10トンを初収穫する予定という。

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