「北欧は幸福度が高い」と思う人に教えたい真実 現状を正しく捉えるためのデータの読み方

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その答えのヒントは、幸福度ランキングが意外なほど高く思える国にあり、よく見るとじつにおもしろい事実が浮かびあがってくる。アフガニスタン、中央アフリカ共和国、南スーダンが、156か国のなかで最も幸福度が低いという結果は、残念なことではあるが十分に予想がつく(内戦により、あまりにも長いあいだ国土が荒廃しているため)。

その一方で、意外なランキングもある。メキシコ(麻薬が蔓延し、暴力事件や殺人事件の発生率がきわめて高い)が23位に入っていて、フランスより上位とは。さらには、グアテマラがサウジアラビアより上? パナマがイタリアより上? コロンビアがクウェートより上? アルゼンチンが日本より上? それに、エクアドルが韓国より上とは。

例に挙げた組み合わせの2国を比べてみると、1つのパターンが見えてくる。幸福度では下位の国のほうが経済的に豊かで(はるかに豊かな場合もある)、政情が安定していて、暴力事件が少なく、ずっと暮らしやすい。

幸福度上位の国の共通点

一方、幸福度で上位のほうの国の共通点は一目瞭然。下位の国より貧しく、問題が多く、暴力事件も多発してはいるが、いずれの国もかつてはスペイン領だったため、圧倒的にカトリック教徒が多いのだ。

おまけに、どの国もトップ50にランクインしていて(エクアドルがちょうど50位)、日本(58位)よりだいぶ上だし、中国(93位)よりはるかに上だ。短絡的な欧米人から見れば、中国は幸せいっぱいの買い物客であふれる好景気に沸く国だというのに。

確かにルイ・ヴィトンは中国でたんまり儲けているのかもしれないが、巨大ショッピングモールも、ありとあらゆる情報を収集している共産党指導部も、中国の人々を幸せにできてはいないのだ。内政不安が続き、経済的にははるかに貧しいナイジェリア(85位)の人たちでさえ、中国の人よりも幸せを感じている。

よって、この世界幸福度ランキングから明確に得られた教訓をお伝えしよう。北欧、オランダ、スイス、ニュージーランド、カナダ以外の、どうしてもトップ10に食い込めない国のみなさんは、カトリックに改宗し、スペイン語の勉強を始めればいい。

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