生活インフラ「水道水」を狙うハッカーの脅威 水酸化ナトリウム含有量をなんと100倍以上に
フロリダの事件と類似したサイバー攻撃が、実はイスラエルで2020年に起きていた。そのため、イスラエル政府は、アメリカ政府に連絡を取り、情報提供など支援を申し出たという。
イスラエルのサイバー攻撃は以下のとおりだ。2020年4月、イランからと思われるサイバー攻撃がイスラエルの下水道や水道施設に仕掛けられた。
イランの関与との報道も
イスラエル政府の国家サイバー総局は、下水処理施設や揚水施設、下水道の制御システムがサイバー攻撃で狙われていると4月23日に警告を出している。そして、インターネットにつながっている制御システムや塩素制御装置のパスワードを直ちに変更するよう、エネルギー企業や水道・下水関連企業に指示した。パスワードが何らかの理由で変更できない場合は、制御システムをインターネットから切り離すよう求めている。
国家サイバー総局のウンナ局長は、サイバー攻撃のあった翌月、サイバーセキュリティに関する国際会議に登壇、この事件に言及した。国家サイバー総局がリアルタイムでサイバー攻撃を検知できていなければ、塩素や他の化学物質が水道水に通常以上のレベルで混ぜ込まれてしまい、大惨事を引き起こす可能性があったと語っている。幸い、サイバー攻撃へ迅速に対処できたお陰で、住民の健康被害や水不足は発生しなかった。
このサイバー攻撃は、イスラエルの家庭用の水道水に入れる塩素量を危険なレベルにまで増加させるため、イランが仕掛けたものではないかと報じられている。しかし、イランは関与を否定した。
一方、イランの主要港であるホルムズ海峡に面したシャヒド・ラジャイ港の港湾施設が、5月9日、サイバー攻撃を受け、船舶、トラック、貨物の流れを司るコンピュータが一斉にクラッシュしてしまった。その結果、周辺の水路と道路で大渋滞が発生、混乱は数日間続いた。
このサイバー攻撃は、イスラエルによるイランへの報復との報道もある。ただし、イスラエル政府は認めていない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら