子供の探究心を育む「オンライン習い事」の底力 Web上に自習室を設ける教室も登場している

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「勉強も受験も教えない塾」として熱狂的なファンに支持され、東京・三鷹市の教室に全国各地、時には海外からも通塾してくる「探究学舎」の代表・宝槻泰伸氏は、「もうインプット型の授業はリアル教室では行わず、オンラインに特化する」という。

探究学舎が目指すのは、子どもたちの”興味開発”だ。

「計算も英語も、読解力も、ピアノも、サッカーもすべて能力開発。読解力やコミュニケーション能力は生きるうえで必須だし、英語ができたり、身体能力が高かったりすると可能性はより広がる。しかし、大事なのはそのスキルを何に活かすか、何に使うかということ。人生のビジョンは能力開発だけでは見つからない」(宝槻氏)。

Youtubeで無料配信も

探究学舎では、子どもたちに驚きと感動を与え、興味の種をまく。テーマは、宇宙、生命、歴史、芸術、ITなど幅広く、子どもたちが自分でどんどん掘り下げていくように探究心に火をつける。

例えば、現在行われている「科学実験編」の授業では、動画とライブ授業を駆使し、最終的にはペットボトルや一円玉を使って、家でも試せる実験に落とし込み、小学生でも身をもって「気流が起こると気圧変動が起きる」ことを体感。大人でもよく理解できていない事象も、遊びのように組み立て子どもたちの興味を掻き立てていく。

探究学舎でも、コロナ休校に合わせてすぐさま対策を講じ、3月2日からYouTubeで無料配信を3週間行った。ライブで観たのは4000人。再生回数は50万回を超えた。

3月は並行してリアル教室も開校していたが、休校要請と同時に全授業をすべてオンラインに切り替えた。

「うちのリアル授業はめちゃめちゃおもしろいんです。いくらオンラインに磨きをかけてもそれを上回るのは難しい。でも、緊急事態宣言下では、物理的にできないからしょうがない」(宝槻氏)。

3月にYouTubeで無料配信を見た1200人が新規で入会。リアルな教室は距離的に限られた人しか通えないが、オンライン化により「探究的な学びに今まで触れたことがない子どもたちがハマった」(宝槻氏)ことで、この1年でのべ2万2000人が受講するまでに拡大した。

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