子供の探究心を育む「オンライン習い事」の底力 Web上に自習室を設ける教室も登場している

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当初は東京、福岡のスタコレに通塾している子どもたち向けに、緊急事態宣言中だけのつもりだったが、口コミで日本全国に広がり、「集団だとなかなか手をあげられないが、家だと伸び伸びしている」「うちの子が真剣に取り組んでいる姿を、間近で初めて見た」という保護者たちの声が殺到。そこでオンラインを続けていく決断をし、2020年7月から有料サービスとして開始。その後8カ月で行ったライブ配信は1万レッスンを超えた。

スタコレでは習いごと以外にも、オンライン上に「自習室」を用意している。「宿題をちゃんとやっているか見ているのが役目」というが、その存在はあなどれない。子どもたちはWeb上で講師にさまざまな質問をすることが可能だ。

YouTubeでも、黙々と学習している動画の再生回数が高かったりするように、誰かと一緒に勉強していたい需要はある。「宿題を見るだけではなく、質問にも答えるし、中には難関校を目指している子も利用しているので、どんな質問がきても答えられるようにチームを組んでいる」(米倉氏)。

今後は要望の多いプログラミングや英語以外の語学なども増やしていく予定だ。

ピアノ教室は日本独自スタイル

習いごとの定番のピアノは、幼少期から始める子が多いこともあり、オンライン化が難しいものの1つだろう。

東京・杉並区で40年続く老舗ピアノ教室は、日本で初めてオンライン専用のピアノ教材とプログラムを作り、「オンラインピアノ教室カンパネラ」を開校した。

「子どもたちが徒歩で習いごとに通える日本は、世界的に見てもまれな環境。アメリカは国土の広さや治安などから、ピアノレッスンもオンラインが主流。中国はそもそもピアノ講師が足りず、習うなら送迎の手配が必要で、むしろ日本の環境は特殊だ」。そう語るのは、カンパネラを立ち上げた中川徹哉氏だ。

もともと老舗ピアノ教室の門下生で、同教室の講師も勤めていた中川氏は日本と中国を行き来しながら、中国でのピアノ講師育成事業に携わっていた。日本でコロナの感染が拡大する前の2020年1月も中国にいた中川氏は、現地の感染状況を見て「これはタダごとではない」と異常さを察知し帰国。緊急事態宣言が出る2週間前に、全レッスンをオンラインに切り替えた。

それと同時に、ウェブサイトの構築と、オリジナルの教材やプログラム作りを開始した。

「レッスン内容は、1人ひとりに合わせたオーダーメイドだが、リズム、ピアノに関する知識など、基礎の部分は共通。もともと自社独自のテキストはなかったが、リアル音楽教室でベテランの先生が40年にわたり蓄積したノウハウを、これを機に系統立てて教材化した」(中川氏)。

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