子供の探究心を育む「オンライン習い事」の底力 Web上に自習室を設ける教室も登場している

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Zoomで行われる75分の講義は、双方向のライブ配信で行われる。子どもたちはホワイトボードやチャットを駆使して自分の意見を発信し、講師はリアルタイムでそれらを捌き、スマホでクイズに参加しながら盛り上がる。子どもの隣で一緒に見ている保護者も一緒にワクワクしながら、気づけば夢中になっている。

「オンライン最大のメリットは親子で学ぶ環境が作れること。探究学舎の授業は95%は家族など複数人で参加しており、これが成功の秘訣。一緒に受講することで、家族の時間の使い方が変わる。授業のあとに、家の中に図鑑が増えたり、家族で美術館や博物館に行ったり、静かだけれど確実に、家庭の中に”探究”が増えていく」(宝槻氏)。

しかし、オンライン上では、子ども同士の関わりはどうしても希薄になる。それを補完しているのが、講義後20〜30人のグループに分かれて行われるホームルーム(HR)と、HRごとに用意されているSNSグループだ。HRにはメンターが2名つき、講義のフォローや子どもたちのアウトプットの場となっている。

SNSでは授業に関することはもちろん、自分の興味あることなど個人的な内容も発信でき、週1回の授業の間を補完する役目も担う。

「オンラインはリアルの廉価版ではないので、両方とも満足いく内容にするためにはかなりのパワーが必要。そのため、従来の授業はオンラインに一本化し、自由研究や短期講座をリアルの教室で行っていくことに決めた」(宝槻氏)。

オンライン×リアルを模索

一方で、リアルとオンラインの「ハイブリッド型」も同校では今後はより強化していきたいという。拠点から全国の小さな教室にテレビ授業を配信。現地でファシリテーターがサポートしていく。

「高校生や大学生になると、Zoomでもコミュニケーションが取れるが、小学生は身体的な関わりがないとコミュニケーションがうまく取れない。家だと保護者のサポートがどうしても必要になるため、教室に預けたいという需要もある」(宝槻氏)

まずはこの春から、東京・三鷹と長野県・軽井沢でハイブリッド授業を始める。オンライン授業の次のステージの幕開けだ。

新しい生活様式が否応なしに始まってから1年。子どもたちにとっては、ガマンを強いられることばかりだった。しかし、そんな中でも未来の希望につながる何かに出合い、楽しみながら成長する姿を応援していきたい。

吉田 理栄子 ライター/エディター

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よしだ りえこ / Rieko Yoshida

1975年生まれ。徳島県出身。早稲田大学第一文学部卒業後、旅行系出版社などを経て、情報誌編集長就任。産後半年で復職するも、ワークライフバランスに悩み、1年半の試行錯誤の末、2015年秋からフリーランスに転身。一般社団法人美人化計画理事。女性の健康、生き方、働き方などを中心に執筆中。

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