助成金の支給は昨年夏以降本格化している。2020年7~12月の人件費削減額を法人企業統計でみると、全企業で4兆円だ。したがって このうち、35%(1.4÷4)が雇用調整助成金によるということになる。
なお、助成金の支給決定と企業の計上には時間的なズレがあるように思われるので、助成金の影響を四半期ごとに分割して評価するのは難しい。
持続化給付金等の給付金の影響は約2.8兆円
政府や自治体からの給付金は、法人企業統計では「その他の営業外収益」に含まれる。
法人企業統計調査で「その他の営業外収益」の額を見ると、2020年後半において、大企業では対前年比で減少しているのに対して、中堅企業、中小企業では増加している。とくに中小企業では著しい増加だ。
10~12月期でみると、大企業では前年同期比23.8%減であるのに対して、中堅企業では同4.8%増、中小企業では実に同24.6%増となっている。
これは、持続化給付金などの給付金が大企業を対象外としているためだと考えられる。
そこで、「その他の営業外収益」が大企業と同じように減少した場合と、現実との差が持続化給付金等の政府給付金の影響であると考えることができる。
この考えに基づいて計算すると、結果は図表1のとおりだ。
(外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)
中堅企業と中小企業の合計で、2020年7~12月で2.8兆円となる。
なお、持続化給付金の支給総額は約5.7兆円である。これに全企業中の法人企業の比率(上記のように55.6%)を乗じると、3.2兆円となる。これは、上記の推定値2.8兆円とあまり変わらない額だ(2.8兆円より多くなるのは、持続化給付金は雇用者数の比率以上に個人企業や個人に給付されたからだろう)。
図表1に見られるように、全体の約88.5%が中小企業向けだ。
売上高の比率でいうと、中堅企業は中小企業の約7割だ。持続化給付金は、この比率に比べて、中小企業により多く配分されている。
これは、ここで「中堅企業」と呼んでいる企業には、持続化給付金が要件としている「中小企業」の定義に当てはまらないものがあるからであろう。
以上のほかに、家賃補助金がある。
これについては、支給総額(2兆円)に、全体の中での法人企業対象分の比重(上で示したように55.6%)を乗じた1兆円が、法人企業への支給額だと考えることとした。
この額だけ利益が増加していることになる。
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