政府支援の多くは、中小企業を対象としている。
ところで、中小企業基本法による「中小企業」の定義は、業種により異なる。例えば、製造業では資本金3億円以下だが、サービス業では5000万円以下だ。
これを考慮し、以下では、資本金によって、企業をつぎのように分類することとする。
なお、実際の支援策では、それぞれに対象を規定している。
雇用調整助成金の影響は約1.4兆円
企業利益を増加させた原因の1つは、人件費がかなり削減されたことだ。
これは休業者に対する手当の多くが雇用調整助成金の対象となっており、法人企業統計調査の人件費ではその分が人件費から控除されていることによると考えられる(これについては2021年2月21日配信の「日本に「隠れ失業者」が山ほどいるという大問題」で述べた)。
なお、雇用調整助成金は大企業も対象となる。ただし、助成率が低い。
法人企業統計調査において人件費の対前年同期比をみると、2020年10~12月期において、大企業が3.1%減であるのに対して、中堅企業は3.5%減、中小企業は3.9%減だ。
この差は、大企業の場合に助成率が低いことによると考えられる。
では、雇用調整助成金は、人件費の削減にどの程度寄与しているか?
2020年12月末において、雇用調整助成金の累積支給決定額は2.5兆円だ。このぶんだけ、企業の人件費が削減されていると考えられる。
ところで、雇用調整助成金の対象には、個人企業も含まれる。それに対して、法人企業統計が対象としているのは法人だけだ。
労働力統計での雇用者数は、2021年1月末で5973万人だ。他方、法人企業統計で2020年10~12月期で従業員計(金融保険を除く)は3323万人と、総雇用者数の55.6%だ。
したがって、2.5兆円のうち1.4兆円(=2.5兆円×0.556)が法人企業対象分と考えられる。
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