さらに、その力強いパワートレインに車体が負けていない。シャキッとしたステアリングの手ごたえと、直進性のよさは、旧世代のノートとは隔世の感がある。乗り心地もフラットで、4輪がしっかりと路面をホールドする安心感があり、一新されたプラットフォームがいい働きをしていることがすぐにわかった。
アクセルを戻したときの回生ブレーキが強めで、アクセル1つの操作で、ほぼ街中の走行をすべてカバーできるのも便利だ。
また、カメラだけでなくレーダーも連動する最新の運転支援システム「プロパイロット」の働きも安心感がある。クルマ全体の質感も悪くない。これは、価格帯の低いガソリン車をやめて、200万円以上するハイブリッドグレードのみに割り切ったことで、クルマ全体にコストをかけることが可能となった結果ではなかろうか。
口当たりのいいプレーンな主食
試乗を終えての率直な感想は、「全体にわたってバランスよく、欠点のないクルマ」だった。
では、新型ノートが“最高のクルマ”かといえば微妙だ。悪くはないが、強烈に訴えかけてくる何かが足りない。走りは十分にパワフルで速いのだが、スポーティでもなんでもなく、運転していてさっぱり楽しくないのだ。
しかし、それこそがノートらしさだと筆者は考える。ノートは数多く売れることを最重要課題とした、大衆車なのだ。クセの強い乗り味は求められておらず、すべての性能がバランスよくあり、口当たりのいいプレーンな乗り味が正解となる。毎日でも飽きない、ご飯(主食)のような存在だからだ。
実は、こうしたご飯のようなクルマこそ、日産の得意分野である。1933年の日本産業グループの総帥・鮎川義介氏による創業から現在まで、日産を率いるトップは経済人がほとんどであり、経済人であるからこそエンジニアの独りよがりになることなく、経済性とニーズをしっかりと意識したクルマ作りを行ってきた。
数多くのヒットモデルを世に送り出してこられたのは、その結果である。
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