米銀シティグループの最高経営責任者(CEO)がマイケル・コルバット氏からジェーン・フレーザー氏に今月交代し、同行取締役16人の半数が女性となった。フレーザー氏は女性として初めてウォール街の銀行を率いる。
これまではフランス政府が大企業に対して取締役会の少なくとも40%を女性とするよう義務付けていたこともあり、取締役会の男女平等という点で仏銀が最もリードしていた。
フレーザー氏のCEO昇格は「転換点」
ブルームバーグの集計データによれば、世界の大手銀行20行で取締役会の女性比率がシティに次いで高いのは仏クレディ・アグリコルの47.6%。仏ソシエテ・ジェネラルと仏BNPパリバがそれに続く。スペインのサンタンデール銀行は40%と国内当局の勧告に従っている。
職場における男女平等推進を重視するフィーメール・クオティエントをロサンゼルスで創業したシェリー・ザリス氏は、フレーザー氏のCEO昇格は「転換点」で、他の多くの金融機関に後に続くよう促すことになるだろうと話す。
英銀HSBCホールディングスは先月、6人目の女性取締役を指名。中国工商銀行は1月に取締役会に3人目の女性を加えた。
一方で、米ウェルズ・ファーゴと英バークレイズの取締役で女性は25%以下にとどまり、中国と日本の銀行では依然として男性が取締役会を支配している。
ジェンダーの多様性が長期的な企業業績と経済成長の向上につながるとの証拠が示されており、銀行は男女格差解消に向け圧力を受けている。ブルームバーグ・エコノミクスの推計によると、女性を経済に完全に参加できるようにすることで、世界の国内総生産(GDP)が約20兆ドル(約2184兆円)増える可能性がある。