コンビニ「雇われ店長」の何とも報われない実態 月200時間超の勤務でも年収は300万円台

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このような雇われ店長の現状について、オーナーはどう考えているのか。
セブン-イレブンで複数店舗を経営するオーナーの一人は、「低い給料を改善したいとは思っているが、社員がその待遇に合意したうえで雇用しているし、雇用を守っている側面もある」と話す。弁解めいた発言だと受け取る人もいるだろうが、このオーナーは待遇改善の意志を持っているほうだ。

本部は雇われ店長の待遇をどうみているのだろうか。あるオーナーは、次のような驚くべき言葉を本部社員にかけられたことを明かした。

「うちの店は月の労働時間が約180時間で年収約400万円、有給休暇を年間20日程度消化できる体制にしている。ところが本部社員からは『待遇がよすぎるのでは』と指摘された。社員の待遇を下げるか社員をアルバイトに転換するよう言われたが、こういうやり方で従業員のやる気が出るはずがない」

大手チェーン各社は、「加盟店オーナーが従業員を雇用しているので、店長や従業員の待遇は基本的にオーナーの裁量の範疇」というスタンスだ。相談に乗ったり法令を順守しているか確認したりしているとはいうものの、主体的に関わるわけではない。

伸びないコンビニの売り上げ

ただ、雇われ店長の待遇が上がらないのは、オーナーと店長の間だけに原因があるわけではない。そこにはコンビニ業界全体の課題も映し出されている。

前出のセブンオーナーは、「箱(=店舗)ビジネスのコンビニで急に給料を上げるのは難しい」と話す。店長や従業員、そしてオーナーの収入の源泉となる、店舗ごとの売り上げや利益を増加させることは容易ではないのが現実だ。

前出の雇われ店長Bさんも同様の意見を示す。

「コンビニの売り上げは立地7割、努力3割と言われる。今の時代、店舗がどれほど頑張っても売り上げは横ばい程度。その反面、(最低賃金の引き上げなどによって)人件費が年々上がっている。メルカリの発送受付など取り扱うサービスは増えているが、作業に手間がかかる一方で手数料はすごく低い」

1店舗当たりの売上高や利益の向上には限界がある中で、複数店舗を経営しようというオーナーはこれまで多かった。複数店化はそこで働く店長などの社員にもメリットがあった。ある店で店長が休日を取る日は別の店から応援を派遣できるなど、人繰りの融通が利くからだ。

前出とは別の複数店を経営するセブンオーナーは、「店舗数を増やした一番大きな理由は、店舗運営の要となる店長を定着させるためだ。店舗数が少ないと、長く働くメリットを店長に与えられない」と述べる。

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