コンビニ「雇われ店長」の何とも報われない実態

月200時間超の勤務でも年収は300万円台

多くの人がコンビニで勤務するが、待遇改善を期待する声は多い(記者撮影)

24時間営業の限界などビジネスモデルに陰りがみられるコンビニエンスストア業界。コンビニを経営する加盟店オーナーの窮状に注目が集まりがちだが、業界の苦境は店長にも暗い影を落としている。

コンビニの加盟店オーナーは、1店舗のみを経営するオーナーもいれば複数店舗を経営する加盟店オーナーもいる。後者の場合、オーナーが店長を社員として雇用する。この「雇われ店長」に商品発注やアルバイトのシフト作成など店舗運営を任せ、オーナーは店舗網全体を管理することが多い。この雇われ店長の中には、待遇に不満を持つ人が少なくない。

「給料を上げてほしい。アルバイトの時給は上がった一方、社員の給料は据え置き。かたや税金や必要となる生活費は年々増えており、生活は厳しくなるだけ」

そうため息をつくのは30代の店長Aさんだ。首都圏でローソンを複数店経営するオーナーの下で働いている。

【2021年3月13日13時40分追記】店長Aさんに関する記述を一部修正しました。

勤続10年弱でも昇給は一度のみ

Aさんの収入は基本給が月24万円。ボーナスはない。残業が多かった頃でも、年収は300万円に届くか届かないかにとどまっていた。そもそも残業代は実際の勤務時間よりも短く計算されているという。

高校卒業後に働き出し、現在は定年を迎えた親と同居する。生活費を家に入れているが、コロナ禍になって残業が減ったことで、学生時代のわずかな貯金を取り崩す生活だ。

実質的な勤務時間はコロナ前の時点で月200時間を超えていた。休みの日であっても、急にアルバイトのシフトに穴が空いて呼び出されることや、ささいな事務仕事についてオーナーから問い合わせを受けることもある。

複数の店長やオーナーの話を総合すると、雇われ店長は年収300万円台の人が多い。1日の勤務時間が8時間で終わる人はほぼおらず、12時間や16時間働く人もいる。しかも勤務し続けても給料が上がるケースはまれ。Aさんは勤続10年弱だが、給料は店長になった後に月1万円上がったことがあるだけだ。

国税庁によると、2019年の正規労働者の平均年収は503万円(男性561万円、女性389万円)。勤務時間などを考えると、コンビニの雇われ店長の待遇は平均以下と言えるだろう。

Aさんとは別のローソンオーナーの下で店長として働く30代のBさん。「お金や時間がなく結婚は現実的に難しいという人がほとんどで、雇われ店長の既婚率はかなり低い」と話す。子どもを持ち育てる人の割合はそこからいっそう低くなる。

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