ファミマ、上場廃止に漂う「個人株主の哀愁」 臨時株主総会で澤田社長は「精神論」に終始
上場企業としての33年間の歴史に幕を下ろす前に開かれた株主総会は、個人株主の届かぬ思いと哀愁が漂うまま終わった。
コンビニ業界2位のファミリーマートは10月22日に臨時株主総会を開いた。親会社の伊藤忠商事などが全株式を取得し上場廃止に向けた手続きを進めることについて株主からの承認を得た。伊藤忠商事は7月から8月にかけて実施したTOB(株式公開買い付け)で、ファミマ株の保有比率を65.71%に上げていた。ファミマは11月12日に上場廃止となる見込みだ。
臨時株主総会は東京・港区のファミマ本社内にある会議室で開かれた。高柳浩二会長や澤田貴司社長をはじめとする取締役と執行役員、監査役の総勢19人が壇上に並ぶ中、22人の株主が参加。開催時間は1時間21分に及んだ。
ここでは関係者への取材を通じて把握した総会内容をリポートする。
「応援したい気持ちが踏みにじられた」
総会は定刻どおり午前10時に始まった。澤田社長の挨拶の後、上場廃止に向けた株式併合と定款変更のために臨時株主総会の招集を株主として請求した伊藤忠商事から説明が行われた。
「伊藤忠グループの経営資源を適切に再配分し、ファミリーマートのビジネスモデルを果敢に転換していくことが、ファミリーマートを含む伊藤忠グループ全体の企業価値向上に資するものと考えている」。伊藤忠商事の社員は、ファミマを取り巻く課題と伊藤忠商事の出資比率を上げる意義を淡々と述べた。
続けて、加藤利夫副社長が事前に受け付けた質問を読み上げ回答していった。質問の多くは1株当たり2300円となったTOB価格の算出根拠に関するものだった。だが、加藤副社長の回答内容はこれまでに開示された情報の範囲にとどまり目新しさに欠けるものだった。
その後、会場に出席した株主が質問。延べ6人が9問を投げかけた。
中にはファミマと合併前のユニーグループ・ホールディングス時代から株を保有していたという株主もいた。合併後にファミマ株を買い増してきたが、その後の株価下落で今は含み損になっていると訴え、「応援したいという気持ちで株を持ってきた。その気持ちが踏みにじられたのが本当に悔しい」と心情を吐露した。
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