ファミマ、上場廃止に漂う「個人株主の哀愁」 臨時株主総会で澤田社長は「精神論」に終始

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ファミマの株価は2018年11月に上場来高値の1万8960円(1株を4株とする2019年2月の株式分割を考慮すると4740円)を記録した後、大きく下落。TOB発表前日の2020年7月7日の終値は1766円と低迷していた。

11月の上場廃止後、ファミマ株は裁判所の許可を経てTOB時と同じ1株当たり2300円で伊藤忠商事を中心に買い取る手続きを進める。株価の高い時期に購入した株主は不満であっても売却することを迫られる。「少ない手切れ金を渡されて離婚を言い渡されるようなもの」(出席株主)と感じる人もいるのではないだろうか。

具体性に欠ける伊藤忠とのシナジー

出席株主からは伊藤忠商事とのシナジーについての質問も出た。真摯に答えようとする姿勢は感じられるものの、回答内容は具体性に欠けるものだったようだ。

「今後さらに伊藤忠商事と密接な取り組みをして、多面的な方面からご協力いただいて、商品開発並びに物流等も含めて大いなる貢献をしていただきたい。また、伊藤忠商事はデジタルに関しても多面的な投資を実行しており、今以上にバックアップをいただいて、両社で協力をして効果を上げていきたい」(澤田社長)

業績の現状に対する見解も尋ねられたが、この質問に対しても回答は精神論に終始した。ファミマの既存店売上高は新型コロナの影響で4月に前年同月比14.8%減を記録、9月も同4.7%減と厳しい状況に置かれている。上期となる2020年3~8月期決算は、不採算店などの減損処理を行ったことで107億円の最終赤字に沈んだ。

経営企画本部長を担う久保勲専務は、「上期に大きな減損処理を出したが、下期に問題を先送りすることなく処理した。下期に日商(1店舗の1日当たり平均売上高)は上がっており業績をよくする覚悟だ」と発言。澤田社長も「繰り返しになるが、今後は伊藤忠商事の力を存分に頂戴して、ますますよい会社にすべく全力で全社一丸頑張っていきたい」と意気込みを述べるだけだった。

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