初代「ヴェゼル」オーナーによるリアルな評価 ライバル比較で見えたロングヒットの理由
前有車の「同一メーカー占有率」を見てみると、ヴェゼルとCX-30が6割程度だったの対し、C-HR、ヤリスクロス、キックスの3車種は7割を超える。このことからも、ヴェゼルはメーカーというよりも車種そのものの力で顧客を獲得できている割合が高いことがわかる。
購入者の性別と年代構成を見てみよう。どの車種も男性が多数派となっているが、CX-30のみ男性が7割を超えて、特に男性比率が高い。男性比率が高い傾向は、マツダ車全体に言えることである。
年代別では、発売後あまり時間のたっていないヤリスクロス、キックスで60代以上の割合が多いことがわかった。発売直後のタイミングでは、有望な見込み客から優先的に営業をかけているためと考えられる。
一般に、メーカーやディーラーへのロイヤルティが高い人ほど、新車案内や来店促進のためのプロモーションへの反応率が高まるものだ。ロイヤルティを高めるには、複数回かつ長期にわたって顧客といい関係性を築く必要がある。そういった経験をしている人は、自動車という商材の場合、どうしても年齢は高いほうに寄りやすい。
また、車検時期が差し迫っていないタイミングで新車を購入するには、まとまったお金が必要になるため、子育て世代よりも可処分所得が多い中高年以上に寄りやすい。新型車登場時、長年のファンから真っ先に購入していくと考えればわかりやすいだろう。
20代の比率がもっとも高いヴェゼルは、今回の比較車種の中でもっとも登場が早く(販売期間が長く)、車種自体の知名度も上がり、値引きなどの購入条件もよくなっていたのだと考えられる。
実用性の高さで選ばれるヴェゼル
さらにヴェゼル購入者を深掘りしていこう。「購入時の重視項目」から、購入者が求めていたことを確認すると、どの車種も「スタイルや外観」がトップとなっていた。とはいえ、この項目はどのメーカー、セグメントの車種においても基本的に高く出る。
ヴェゼルで特徴的なのは、「室内全体の広さ」「荷室の大きさ」「燃費の良さ」といった実用性に関する項目がコンスタントに高いことである。どこかに特化したクルマというよりは、日々の生活の中でさまざまな目的に使うクルマとしての守備範囲の広さが求められていると、読み取ることができそうだ。
初代ヴェゼルは「SUVの力強さ、クーペのあでやかさ、ミニバンの使いやすさ、さらには燃費性能まで、ジャンルの枠を超えた多面的な価値を高次元で融合させた全く新しいクルマ」という宣伝文句で登場した。ホンダのその狙いのとおり、サイズ感、居住性、燃費性能などが、オールラウンダーとして高く評価されているのだろう。
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