絶対王者「N-BOX」の頭打ちが映すホンダの難題 軽と小型車の国内依存大、期待は新型ヴェゼル
ここ数年、日本国内で販売される軽自動車を含む乗用車の車名ブランド別新車販売ランキングで1位を快走してきたのがホンダ「N-BOX」だ。2017年から2019年まで、暦年ベースで国内販売の総合1位を守り続けた。
2020年9月以降の月別販売台数では、トヨタ自動車「ヤリス」が1位に躍り出てN-BOXは2位となっているものの、この順位には疑問も伴う。日本自動車販売協会連合会が集計する登録台数では、ヤリスの中に、「ヤリスクロス」も含まれるからだ。ヤリスクロスは、エンジンやプラットフォームをヤリスと共通化するものの、外観はSUVだから大幅に異なる。実質的に別のクルマだ。
純粋な単一モデルではN-BOXが実質1位
しかもヤリスクロスの登録台数は、1カ月当たり6000台から1万台に達するとされている。そこでヤリス(ハイパフォーマンスモデルの「GRヤリス」を含む)とヤリスクロスの登録台数を仮に別々に集計したとしたら、純粋な単一モデルとしてはN-BOXが実質の1位を保っていると言っていい。
このようにN-BOXは国内販売の絶対王者だが、届け出台数の推移を振り返ると、頭打ち感も見られる。2019年には1カ月平均で2万1000台以上を届け出したが、2020年は伸び悩んだ。コロナ禍の影響が収まり、軽自動車の売れ行きがプラスに転じた10月と11月も、N-BOXは盛り返していない。10月は1万6052台の届け出台数があり、対前年比はマイナス13.8%。11月も1万5685台で前年に比べると2~3%減った。
N-BOXの売れ行きが伸び悩んでいる背景には、ホンダ「N-WGN」の影響もある。N-WGNが現行型にフルモデルチェンジしたのは2019年7月だが、電動パーキングブレーキに不具合が生じて、同年10月から12月は届け出台数が大幅に滞った。2020年に入ると納車が再開されたが、4月以降はコロナ禍の影響を受けて再び伸び悩んだ。この反動もあり、N-WGNの販売は2020年9月以降に前年の4倍以上となる大幅な伸びを示した。N-BOXはそのあおりを食ってユーザーを奪われた格好だ。
両車ともに軽自動車だから、N-WGNが好調に売れると、N-BOXが停滞するのは不思議なことではない。ただしホンダの場合、販売総数も伸び悩んでいる。2020年1月から11月の販売累計は、国内全体ではコロナ禍の影響もあって前年に比べると13%のマイナスだが、ホンダに限れば同16%減だった。
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