絶対王者「N-BOX」の頭打ちが映すホンダの難題 軽と小型車の国内依存大、期待は新型ヴェゼル

拡大
縮小

特にタントはダイハツの最多販売車種で、2019年にフルモデルチェンジした。今は絶好調に売れるべき時期だが、2020年1~11月の累計台数を見ると、前年に比べて28%減っている。現行タントは先代型の欠点とされる後席の座り心地、走行安定性、操舵に対する車両の反応などを改善して、優れた商品に仕上がった。それでも売れ行きが伸び悩む背景には、スーパーハイトワゴンと呼ばれるカテゴリー全体の飽和感がある。

その代わり全高が1600~1700mmの軽自動車で、内外装をSUV風にアレンジしたスズキ「ハスラー」やダイハツ「タフト」が新型になって売れ行きを伸ばしている。悪路に強い本格SUVのスズキ「ジムニー」も、1カ月平均で3000台以上を届け出しながら、納期は今でも約1年を要するほど人気が高い。

ホンダは軽自動車のSUVモデルをそろえていない

このように今は軽自動車でもSUVがトレンドになってきたが、ホンダには、ハスラー、タフト、ジムニーに相当する車種がない。小型車については、フィットやフリードに「クロスター」を用意するが、外観のSUVらしさが希薄で、販売の主力グレードになっていない。

そうなるとホンダでSUVと呼べるのは、コンパクトな「ヴェゼル」とミドルサイズの「CR-V」のみだ。このうち、ヴェゼルは2013年の登場だから設計が古い。CR-Vは価格が割高。つまりホンダは昨今のSUVブームを上手に生かせていない。

また今のホンダの売れ筋車種は、前述の通りN-BOX/N-WGN/フィット/フリードに集約されるが、フィットにはライバルが多い。2020年2月には、フィットがフルモデルチェンジを行ったが、ほぼ同時にトヨタヤリスも一新されて堅調に売れている。2020年末には日産「ノート」も一新され、2021年には売れ行きを伸ばすだろう。背の高いコンパクトカーのスズキ「ソリオ」も新しくなったから、フィットは新型に切り替わった直後の現在においても、厳しい競争関係に置かれている。

次ページホンダの期待は今年登場の新型ヴェゼル
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT