絶対王者「N-BOX」の頭打ちが映すホンダの難題 軽と小型車の国内依存大、期待は新型ヴェゼル

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今のホンダの国内販売は、少数の軽自動車と小型車によって支えられている。そのためにスーパーハイトワゴンが飽きられ始めてN-BOXの売れ行きが低下したり、フィットに強力なライバル車が登場して競争が厳しくなったり、フリードが発売から4年以上を経過したりして、ホンダの国内販売全体が弱体化してしまっている。日産などにも当てはまる話だが、ユーザーや販売会社、メーカーのためには、車種ごとの販売格差を抑えてバランス良く売ることが大切になる。

その意味で、2021年のホンダには期待したい。ヴェゼルがフルモデルチェンジを迎えるからだ。最近のヴェゼルの登録台数は、1カ月当たり3000台弱だが、2014年には同8000台を超えていた。次期ヴェゼルは現行型と同様に燃料タンクを前席の下に搭載して空間効率を高め、全長は4.3m少々だが、後席と荷室はミドルサイズ並みに広い。次期型ではハイブリッドシステムがモーター駆動を中心としたe:HEVに改善され、衝突被害軽減ブレーキや運転支援機能も進化する。

コンパクトSUVは人気のカテゴリーだから、トヨタ「ライズ/ヤリスクロス」、日産「キックス」、スバル「XV」といったライバル車が多いものの、ヴェゼルは売れ行きを伸ばす可能性が高い。

レベル3の自動運行装置も市販車搭載へ

またホンダは2020年3月までに、最上級セダン「レジェンド」にレベル3の自動運行装置を搭載すると発表している。自動運行が可能なのは高速道路における渋滞時に限られるが、ドライバーの疲労を軽減させる効果は大きい。こういったシステムをミニバンの「オデッセイ」や「ステップワゴン」に搭載して、先進的なセールスポイントにすることも大切だ。せめてヴェゼルとステップワゴンは、日本の市場環境に適した車種なので、ユーザーが歓迎する改良を行ってほしい。

渡辺 陽一郎 カーライフ・ジャーナリスト

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わたなべ よういちろう / Yoichiro Watanabe

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまにケガを負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人たちの視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

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