堀江貴文「ニセモノの安心を得ている人たちへ」

所有欲に縛られると、やりたいことができない

堀江貴文氏がモノの所有にこだわらない理由とは(写真:小学館集英社プロダクション提供)
常識はいつだって、僕たちを縛ろうとする――。「自分の人生を取り戻す」ための41の行動スキルを伝授する堀江貴文氏の新著『非常識に生きる』から一部を抜粋・再構成し、堀江氏のメッセージをお届けします。

聞かれても「欲しいもの」はない

若い頃から、僕にはほとんど所有欲がない。車に家、高級スーツに時計、貴金属、有名なアート、トロフィーワイフ……多くのいわゆる金持ちが求めている、「自分の成功を象徴する」ような実体物を、ひとつも持ちたくない。 

唯一と言える所有欲は、スマホぐらいだ。仕事や遊びに、いまのところ最も役立つからだ。けれど、もしスマホ以上に、僕のいまの暮らしを最適化させてくれるツールが出現したら、スマホも秒で捨ててしまうだろう。

堀江さんは、いま何が欲しいですか? インタビューで、うんざりするほど聞かれてきた。答えたひとつ。「ないです」、話は終わり。つまらないやりとりを繰り返してきた。聞きたい気持ちも少しわかる。

取材の対象になるようなビジネスパーソンは、欲しいものを聞かれると、たいてい何かしら気の利いたアイテムを答えてくれるらしい。「何も欲しくない」という僕のような答えは、拍子抜けなのだろう。サービス精神で何か答えられればいいのだけど……どんなに考えても、欲しいものはないのだ。

かつて持っていたもので割と大きなスケールだったのは、プライベートジェットだろう。資産家の自慢として買ったのではなく、シンプルに海外移動が便利だったからだ。

いまはホンダジェットを、知り合いとシェアして使っている。シェアで用が足りるなら、自分で買って持とうとは絶対に思わない。

そもそも、スペースを取られるものを、なぜみんな欲しがるのだろう。持つことによる喜びや安心は、果たして本物なのか? 持っているものが、いつまでもそこにある保証は、誰がしてくれるのか? 所有するという欲望の根本的な理由は、何なのか? まるで、哲学問答だ。

所有欲は、状況によれば行動のモチベーションにもなるだろう。でも所有欲が、人を幸せにすることはない。あるとしても一瞬だ。僕もかつて、所有欲にとらわれていた時代を過ごした。家も車も、ブランド品もワインも腕時計も、買いまくった。でも、その欲はすぐに満たされた。所有しなくても自分を豊かにしてくれるいろんなものを見つけて、いまはもっと楽しく暮らしている。

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