日本人が英語を身につけられない根本的な原因 世界中の科学的研究から導き出された勉強法

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机に座って単語を覚えるより、お風呂に入って覚えるほうが、頭に入って覚えられるな、と感じることはありませんか? その理由は、お風呂に入ると気分転換になるし、集中力も上がるからだと思っていませんか?

実はこれには、脳波の一種シーター波が影響しているんです。カリフォルニア工科大学のルティスハウザーらによる研究をご紹介しましょう。

【実験内容】
8人の被験者に100枚の写真を1枚1秒間見せ、15~30分後にさらに100枚見せた。そのうち半分は新しい写真に変わっており、すでに見た写真はどれか、その答えにどれくらい自信があるかを尋ねた。

この質問をしたときの被験者の脳波を計測したところ、シーター波が出ているときに、海馬などの部位が最も活性化していることがわかりました。また、東京大学の久恒辰博助教授および戸塚祐介らは、海馬にシーター波が伝わると、ニューロンへの分化が促進されることを実験から突き止めています。

神経幹細胞という細胞が、脳を構成する神経細胞・ニューロンへ分化することを「ニューロン新生」といいます。1906年にノーベル賞を受賞したラモニ・カハールがニューロンを発見して以降、ニューロン新生は幼い時期にしか起こらないと考えられていましたが、大人になってからもニューロンを増やせることがわかったのです。

シーター波は勉強などの作業に集中しているときに発生します。

そして、そんなシーター波は、ソファに座っているときや入浴中などリラックスしているときにも発生し、増えることがわかっています。お風呂の中のほうが頭に入ってくるなあ、と感じるのは、そういう理由なんですね。入浴中はもちろんですが、お気に入りのソファに深く腰かけて、ゆったりとした気持ちで暗記するのもおすすめです。

英単語がなかなか覚えられないときは、勉強場所を机からお風呂に変えると、頭にスラスラと入ってきますよ。

「飽きっぽい」人の集中力を高める「ノイズ」の効果

なかなか集中できなくて、すぐに飽きてしまうという方。もしかして、自室にこもって勉強していませんか?

カフェや喫茶店で勉強しているビジネスパーソンや、図書館やカフェで参考書を広げて勉強している受験生をよく見かけることがあると思います。実は、その方法、集中力を維持するのに、正しいやり方なんです。

図書館やカフェは、まわりに人がいて、居眠りなどがしにくかったりしますが、人が話したり、動いたりする物音が恋しくて利用する方もいるようです。そう、秘密は「音」にあるのです。

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