「香り」をスマホで遠隔地へ運ぶ驚愕の技術 ハーバード大教授が事業化に向けて資金調達

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円筒形の製品

2つの円筒を持つガジェット、 オーフォン・デュオ(oPhone DUO)という香りの電話機のような製品で、一度に10秒ほど香りを配信する仕組みだ。 このオーフォン・デュオは2015年初旬に販売予定で、今なら 149ドル。実際に販売されるようになった暁には199ドルになるという。

2つの円筒のシリンダーの中にはoChip(オーチップ)という8つのチップが内蔵されており、チップ1つが4つの香りを持つ。つまり、プリンターのインクカートリッジのように、32もの香りをいろいろと 組み合わせて、30万以上もの多様な組み合わせを生成できるという。

香りをメール送信するオーフォンを使うには、無料のiPhone上のアプリケーション、オースナップ(oSnap)をダウンロードする必要がある。電子メール、フェイスブックあるいはツィッターなどで、撮った写真に香りをつけて送るには、今のところ送りたい本人が香りを選ぶなど、いろいろな手順が必要だ。エドワーズは「いつかアプリケーションが自動的に写真の目的物を探知し、適切な香りをタグするようになる」と語る。

現在、使用できる場所は3カ所のみ

また、現在は使える場所も限られている。ニューヨークのマンハッタン、フランスのパリ、マサチューセッツ州ケンブリッジだけに限って、 同社がオーノート(oNote)と呼ぶ匂いのあるメッセージを受送信出来るのだ。ヴェイパーはいつか、スマホにインストールされることを望んでいる。

同社は現在食品の香りを開発することに力を注いでおり、次はコーヒーの香りに移行する予定。競争の激しいスマートフォン事業で、嗅覚に訴える技術はどのような可能性を持っているのだろうか。まずは、香水を扱うメーカー、高級レストランなどを扱う事業者が商業的に使うようになるかもしれない。=敬称略=

Ayako Jacobsson ジャーナリスト

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アヤコ・ジェイコブソン / Ayako Jacobsson

山口県徳山市生まれ、広島市で育つ。東京都立大学(現首都大学東京)法学部卒業、英ケンブリッジ大学、コロラド大学ボルダー校で学ぶ。在学中、AP通信東京支局で編集アシスタント、卒業後はビジネステレビのディレクターとして「ウォール・ストリート・ジャーナルを読む」「製造物責任法」等を担当。その後、読売新聞英字新聞記者として、通信、テレビ、映画、ホテルなどの業界を取材した。ペルーのフジモリ元大統領へのインタビューも行った。1999年頃からシリコンバレーに拠点を置き、取材・執筆活動を行っている。

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