なぜアマゾンは、スマホに参入したのか?

アマゾンのスマホ戦略を分析する

端末では儲からないが、そこはプライムが解決する?

アマゾンは、前述の通り、同社のアナログ、デジタルのコンテンツ流通に関するエコシステムのピースを、Fire Phoneによって埋めることができ、プライムユーザーにとって非常に良い選択を提供する事ができると予測できる。そこから先の競争をどのように戦っていくのか。

まず端末そのもののビジネスだが、iPhone、iPadの世界規模の売れ行きと比べれば、アマゾンのKindle Fireシリーズや立ち上がったばかりのFire Phoneはまだまだ、これから、という存在だ。アップルのiPhoneと、グーグルが肩を持つサムスンのGALAXY Sシリーズ以外にスマートフォンの端末製造のビジネスから利益を上げていない。

正直なところ、アマゾンが利益を出す規模に成長するには非常に長い時間がかかるか、そのときは訪れない可能性が高い。しかし、Fire Phoneを使っているユーザーは、2年目に入ったときに、プライムの料金99ドルをアマゾンに直接支払う可能性がある。これは、アップルやグーグルがアプリやコンテンツのプラットホームの売上手数料を細かく獲得する以上に、効率の良い収益になるはずだ。

またプライムユーザーがプライムをやめないためのツールになることも考えられるのだ。

アップルとの対峙で決定的な数字

しかしもう少し別の角度でスマートフォン市場の競争を見てみると、どれだけの人数に課金できる可能性があるか、という視点がある。つまり、クレジットカード番号を登録しているユーザーの数の比較だ。米メディア「ビジネスインサイダー」が掲出したグラフによると、アップルに登録されているクレジットカードのアカウントは8億件に到達している。一方のアマゾンは2億件を少し超えたところだ。

もちろんこうしたユーザーにどのような金額のコンテンツを販売し、手数料を得るのか、という違いは存在し、デジタルコンテンツ中心のアップルと、デジタルコンテンツだけでなく99ドルの会員費から500ドルを超えるテレビまで販売するアマゾンとで単純な比較はできない。

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